『離婚のツボとコツ』

1-7 離婚すると氏はどうなりますか?


<私の氏はどうなるの?>
もともと私は山田という氏でしたが、結婚して川田という氏になり、離婚後も川田を名乗っていましたが、再婚して海田になり、さらに今回離婚することになりました。ちなみに、海田の氏の時に、子どもを一人もうけています。

<話し合いのコツ>
●たかが氏、されど氏
離婚後、婚姻時の氏を名乗るか、婚姻前の氏を名乗るかは、本人の自由です。
ただ、いずれの氏を名乗るかについては、離婚前に、相手や子どもときちんと話し合いをしておいた方が良いのではないかと思います。

相手の中には、離婚を機に氏を戻して欲しい、という方もいます。他方で、自由にして良い、という方もいます。子どもがいる場合には、子どもの氏は変えないで欲しい(なお、子どもが 15才になるまでは、氏の決定権は親権者にあります)という要望が出ることもあります。

子どもの方でも、学期の途中で氏が変わることや保護者と氏が違うことに抵抗がある場合があります。また、氏のことがきっかけでいじめられる場合もあるかもしれません。

学校は、きちんとした理由があれば、日々の学校生活において、戸籍上の氏とは違う氏で対応してくれることもあります。例えば、次の4月から中学校に進学予定で、現在離婚調停中であり、離婚の成立に伴い旧姓に戻す予定の場合、あらかじめ学校にその旨を伝えておけば、4月の進学時点で旧姓で対応してくれる場合もあります。

◎話し合いのコツポイント
氏についてのこだわりは、人によって大きく異なります。生活にも重大な影響があります。離婚時にきちんと話し合った方が良いでしょう。

<法律上のツボ>
●離婚に伴う氏の変化
離婚により、原則として婚姻前の氏に戻ることになります。しかし、離婚届と同時に、あるいは離婚の日から3ヶ月以内に届け出ることによって、婚姻時の氏を続けて使うことができます(詳しくは、離婚届を提出する際に役所の窓口で尋ねてみてください)。

ただし、離婚によって戻るのはあくまで今回の婚姻前の氏ですから、冒頭のケースでいえば、海田さんは、川田さんに戻るだけで、山田さんに戻ることはありません。

川田の期間が短く、海田の期間が長かったりすると、海田は名乗りたくないけれど、今更、川田になっても……ということもありえるでしょう。

そのような場合には、家庭裁判所に氏の変更許可の申立をすることになります。本来、氏の変更許可の申立は、婚姻前の氏に戻すことを直接の目的とした制度ではありません。

そのため、例えば、海田という氏を、全く何の脈絡もなく佐藤という氏に変えたい、という申し立てをすることもできないわけではありません。

ただし、実際に裁判所から許可を得るためには、何となく嫌だというレベルではなく、社会生活上の不利益が生じている等の「やむを得ない事由」が必要となります。そのため、脈絡なく佐藤にしたい、という申し立てでは、おそらく裁判所から許可されないのではないかと思います。

今回の海田さんのように、以前利用していた氏に戻したいというような理由に基づく申し立ては、基本的には「やむを得ない事由」が認められやすいようです。

冒頭のケースのような場合、

(1) 氏の変更許可の申立書 (裁判所のWEB や窓口で書式を手に入れることができます)
(2)生まれてから現在に至るまでの氏の変遷がわかる戸籍謄本等
(3) 収入印紙800円分(平成27年現在)
(4) 裁判所が指定する組み合わせの郵便切手(裁判所によって異なる場合があるため、最寄りの裁判所に確認してみてください)

等を揃えて裁判所に提出するのが一般的です。

裁判所から許可の決定が出たら、確定(概ね2週間後くらいになります)を待って、裁判所で確定証明書(収入印紙150円分が必要となります)を取得します。

その後、役所で、所定の書式に必要事項を記入の上、決定書や確定証明書等の必要書類を添付して、提出します。なお、離婚届は子どもの戸籍には何の影響も及ぼしません。親権者になる親が、離婚によって婚姻時の戸籍から外に出た場合であっても、子どもは元の戸籍に残るため、親権者になる親と子どもは、氏も戸籍も違うことになります。この場合、氏や戸籍を一緒にするためには、子の氏の変更許可の申立を行う必要があります。

子の氏の変更許可の申立を行う場合、

(1)子の氏の変更許可の申立書(裁判所のWebや窓口で書式を手に入れることができます)
(2)子の戸籍謄本(全部事項証明)
(3)父・母の戸籍謄本(全部事項証明)
(4)収入印紙800円分
(5)裁判所が指定する組み合わせの郵便切手(裁判所によって異なる場合があるため、最寄りの裁判所に確認してみてください)

* (2) と(3) については同じ書類になる場合には1通で足ります
*子が 15歳未満の場合には、親権者が代理して申し立てることになります。

等を揃えて裁判所に提出するのが一般的です。

許可の決定がでたら、役所で、所定の書式に必要事項を記入の上、決定書等の必要書類を添付して、提出します。

<法律上のツボ ポイント>
ややこしいですが、役所の戸籍担当者が親切に教えてくれます。

<用語の解説>
・調停[調停調書]:裁判所における、非公開の話し合いの手続「その話し合いの結果が記載された公的な書類)。原則としてお互いに顔を合わせることはなく、守秘義務を負う調停委員が間に入り、話し合いを進めていく。詳細については、4-3節参照。
・決定 【決定書】: 審判手続における審判官(=裁判官)の結論 【結論と理由が記載された書類)。例えば、話し合いがつかない場合に、分担すべき婚姻費用の金額についてなされる。一般の方がイメージする判決に相当する。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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