『相続実務のツボとコツ』

5-3 お墓じまいやお墓の引っ越し(改葬手続き)はどうやってするの?


<「墓じまい」や「納骨」について>
一般的に、火葬したあとの「お骨(焼骨)」をお墓に収蔵することを「納骨(のうこつ)」と言います。海外では「土葬」されることも珍しくありませんが、日本では99.9%が「火葬」による方法で行われています。※1そして火葬した後残ったお骨(焼骨)を拾うことを「拾骨(しゅうこつ)」と言います※2が、その拾ったお骨をどのように保管していくか (供養していくか)が問題となります。

骨壺(骨箱)に入れ、お仏壇等の近くにご自宅で保管すること(「手元供養」と呼ぶことがあります。) も禁止されていませんが、一般的には「墓地」の利用を申し込み、その「墓地」の使用権に基づいて「墓石」を建て、そこに保管することがまだまだ主流となっています※3。なお、墓地は誰が運営・管理しているかによって、以下の①~③に分類することが可能です。

※1「墓地、埋葬等に関する法律」の規定では「火葬」と「埋葬(土葬)」が認められ、船員法という法
律で船上から行う「水葬」が認められています。
※2「拾骨」することは義務ではないため、火葬場にて「拾骨しない」ことを希望することもできます。その場合は、「納骨」や「お墓」の問題は生じないこととなります。
※3 それぞれの信仰する宗教や宗派によって供養に関する考え方や方式は異なりますので、当該記載とは一致しない場合があります。異なる場合でもで容赦下さい。

墓地の管理者(運営者)による墓地の種類
①寺院墓地…お寺さんの敷地内に存在する墓地です。
②公営墓地…市区町村等の地方公共団体や公的機関が運営する墓地です。
③私営墓地…地縁団体 (町内会等)や民間企業が運営する墓地です。

このようにして先祖代々の立派な「お墓」があっても(新たに用意しても)、きちんと管理する人(墓地使用権の承継者)がいなくなってしまっては、結果的に「無縁仏」になってしまうことがあります。

昨今では、このような事態を避け、「ご先祖様をきちんと供養していきたい」という想いから、「墓じまい」をする方が増えています。なお、「お墓じまい」は一般的な用語ですが、お墓を移転させることを「改葬(かいそう)」と呼び、法律によって行政手続きが必要とされています。

<「墓じまい」に関する基礎知識>
まず「お墓」に関する基礎知識から解説します。お墓については、「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)」に様々な規定があります。

この法律の第2条第3項にて、「「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。」と定義されており、同法第5条にて「埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。」と定められています。

つまり、「墓じまい」をするには、墓地埋葬法の規定に従い、市区町村 (保健所が管轄していることが多いです)への「改葬許可申請」が必要となります。具体的な手続き方法は「墓地埋葬法施行規則第2条」に規定されていますが、市区町村役場のHPから申請書等は入手できます。

<改葬許可申請の手続きの基本的な流れ>
改葬許可申請の手続きの基本的な流れは次の①~⑥のようになります。

①お墓の移転先の確保
まずは、移転先となるお墓の準備を行いましょう。最近では、「墓地」を持たず、利便性の高い都市部の「納骨堂」や「永代供養」も増えています。

②現在の墓地使用契約の確認
今ある墓地(墓じまいをする墓地)の「使用契約」について、解約手続き上の制約がないかを確認をしましょう。墓地返還時の制約として多いのは、「撤去を行う工事業者の指定」及び「撤去費用に係る金額の指定」です。これらの規定がない場合は、墓石業者を自ら探したり、墓地の管理者から紹介してもらったりして選定を行います。

③墓石撤去業者の選定・見積もり取得
墓石の撤去業者を選定した後は、現地を確認してもらってから、墓石の撤去・処分及び原状回復に掛かる「見積書」を取得しましょう。口頭ではなく書面でもらっておくことが報酬トラブルを防ぐコツの1つです。また、撤去後に関する墓石の処分方法についても確認しておくようにしましょう。過去に、撤去後の墓石が山中に不法投棄されていた全国ニュースもありました。なんとも罰当たりですね。

④「改葬許可申請書」に、墓地管理者から「埋蔵証明印」を取得
改葬許可申請書は墓地のある市区町村を管轄する保健所でもらう又は市役所等のホームページから入手できます。申請書内に現在の墓地を管理する寺院等から、「証明」を頂く所があるので、現在の墓地管理者へ依頼して、記名押印をしてもらいます。なお、墓地管理者によっては、独立した「埋蔵証明書」を発行してくれる場合もあります。

⑤申請し、無事に「改葬許可証」が得られたら、「閉眼供養」を手配
一般的には、いきなり撤去工事に入るのではなく、お付き合いのあるお寺さん等へ依頼して「閉眼供養(精抜き)」を行います。なお、墓石の撤去工事は閉眼供養の直後(同日)に行うことが多いですが、供養だけ先に済ませておくことも珍しくはありません。

⑥お骨を取り出し、新しい墓地へ納骨する(完了)
墓石撤去工事の際に(墓石を撤去することなく、お骨が取り出せる構造の墓地もあります。)、仏様のお骨を墓地から取り出します。この時に、「骨壺」に入っていない状態で土と混ざっている状態の場合も多く、場合によっては移転先がそのままの状態で受け入れてくれないケースもあります。どのような状態で納骨してもらえるのか、移転先へ事前に確認しておきましょう。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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