『相続実務のツボとコツ』

5-18 電話加入権の名義変更手続きはどうするの?


<電話加入権とは>
電話加入権を簡単に説明すると、旧日本電信電話公社(現在のNTT)が、アナログ回線普及に必要な電柱や電線などのインフラ設備資金を調達するために、「施設設置負担金」という名目でお金を支払った人に対して与えていた「電話を引く権利 (電話に加入する権利)」ということになります。法律上は「加入電話契約者が加入電話契約に基づいて加入電話の提供を受ける権利」(電話サービス契約約款第21条)と言います。
昨今では、携帯電話が高齢世代にも普及し、携帯電話の契約をしたまま亡くなられるケースが増えていますが、まだまだこの電話加入権を所有しているケースも珍しくありません。故人が住んでいたご自宅に「固定電話」がある場合は、その契約内容を調べてみましょう。ただし固定電話があるからと言っても、インターネット回線を活用したタイプも普及しているため「電話加入権」を有するとは限りません。

 

<「電話加入権」の財産的価値>
現在 (本書執筆時)でも施設設置負担金は36,000円(消費税別)と定められているため、社会実態として取引市場が存在し、電話加入権の買取りを専門で行う事業者も存在しています。しかし、現在は電話加入権が不要なインターネット回線を用いた固定電話なども広く普及しているため、新たに電話加入権を求める人は希少であり、人気の高い電話番号(下4桁が「8888」など)でもなければ、売却できたとしても二束三文でしょう。
なお、国税庁が定める相続時の財産評価(令和2年財産評価基準書)としては東京都の価格で1本あたり1,500円となっています。

<電話加入権の相続手続き(承継)について>
まず、承継手続きを行う窓口は、NTT西日本とNTT東日本で分かれます。インターネットを利用できる方は、それぞれの会社のホームページ内の該当ページより、手続き書類をダウンロードすることができるため、自宅にいながら手続きを完了させることができます。必要書類は次の通りです。

 

●承継手続きに必要な書類
NTT西日本・NTT東日本共通です。
死亡の事実及び相続関係が確認できる書類(写し可)が必要になります。

 

戸籍謄本
故人の死亡日が記載された戸籍と、故人と新契約者の関係性がわかる戸籍が必要です。
死亡年月日の記載がない場合は、戸籍謄本とあわせて、死亡年月日の記載がある住民票、死亡診断書、埋葬許可書のうち、いずれか1点を用意します。

遺言書(家庭裁判所の検認があるもの。公正証書は除く)
遺言書がある方は写しを提出します。遺言書内で相続関係が確認できない場合は、
その他に戸籍謄本等が必要となる場合があります。
なお、法定相続人ではない方へ遺言書により名義変更をする場合は、「譲渡」扱いになります。

 

法定相続情報一覧図
戸籍勝本等に代えて、法務局発行の法定相続情報一覧図を提出することも可能です。

 

その他
提出する書類で、新契約者の生年月日・住所・氏名の確認ができない場合、別途、新契約者の本人確認書類(運転免許証・パスポート (住所記載のあるもの)等のいずれか1点の写し)が必要となることがあります。

 

NTT西日本
https://www.ntt-west.co.jp/denwa/mousikomi/name/syoukei.html
NTT東日本
https://web116.jp/shop/meigi1/mei1_02.html
上記の通り、不動産や預貯金などの相続手続きとは異なり、すべての書類がコピーで足り、また印鑑証明書や遺産分割協議書は不要である点で、比較的簡易な手続きとなっています。なお、「承継」をせずに相続人からの「解約申し込み」を行ったり、承継したうえで同時に「利用休止」の手続きを取ったりすることも可能です。
実務では、親族や知人からの電話連絡に備え、1年ほどそのまま契約を維持したのち、解約をされる方が多いです。前述の通り、譲渡性もありますが、電話番号が紐づいているため、売却される方はあまり多くないように感じます。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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