『相続実務のツボとコツ』

5-15 ゴルフ会員権の承継手続きは どうやってするの?


<ゴルフ会員権とは>
「ゴルフ会員権」とは、簡単に説明すれば、「ゴルフ場の運営会社が定めた規約(入会条件等)に基づき、特定のゴルフ場を利用(プレー)できる権利」のことを言います。
「ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律(平成4年法律第53号)』にて、一定のルールが定められています。この「ゴルフ会員権はゴルフが好きで主にプレー目的で所有している場合の他、一部のゴルフ会員権は市場が形成されていて時価があるために、投資目的で購入されている方もいらっしゃいます。

 

しかし、一口に「ゴルフ会員権」と言っても、その種類としては主に「預託金型」と「株式型」の2つがあり、かつそれぞれの運営会社の規約により権利内容や承継手続き方法は大きく異なります。なお、この2つの型以外の特殊な種類もありますが、かなり少なく、かつ流通もほとんどされていないため、本書では説明を省略します。

筆者の経験では相続手続きを行う頻度としてそれほど多くありませんが、バブル経済崩壊後に経営破たんをしているゴルフ場も多く、またゴルフ場運営会社の担当者も相続手続きに不慣れなために承継手続きが難航することが多い印象です。ゴルフ会員権の仲介会社等の協力も仰ぎながら、慎重に手続きを進めることが求められます。

 

<大きくは2つのタイプに分かれる>
預託金型と株式型の2つのタイプを見ていきましょう。

 

●預託金型
その名の通り、入会時に金銭を「預託」するタイプのゴルフ会員権で、原則として、相続人からの請求により、返還請求が可能です。世の中のゴルフ会員権のほとんどがこの型ですが、何らかの原因で経営状況が悪化していたり、既に破産手続き等に至ったゴルフ場にあっては、返還できるのが10年以上先というケースもあります。

 

●株式型
お金を預けるのではなく、ゴルフ場運営会社の「株式」の一部を購入するタイプのゴルフ会員権です。その性質はあくまで「株式」ですので、経営が良ければ「株主配当」が見込めますし、万が一経営破たんするようなことがあっても、株主として残余財産の分配を求めることも可能ですので、取引市場では人気があるそうです。こちらの株式型であっても入会時に「入会保証金」を提供しているケースでは、原則として相続人から還付を求めることができます。

<ゴルフ会員権の承継手続きの流れ>
まずは、ゴルフ会員権の「会員証」を見て運営会社に連絡を取り、相続手続き方法を確認することから始めます。「会員証」がない場合でも、ゴルフバッグ等に付いている「会員バッジ」などから特定が可能な場合があります。またゴルフ場の多くが会員権所有者に対して「年会費」を請求していることから、通帳の取引履歴(出金記録)でもゴルフ場運営会社を特定することもできます。

 

①一般的な相続手続きと同じく、まずは相続人調査と遺産分割協議を実施
被相続人の出生まで遡る戸籍謄本等を収集し、相続人を明らかにしたうえで、相続人が複数いる場合はゴルフ会員権の承継者を遺産分割協議で決定します。有効な遺言書があり、その遺言書にゴルフ会員権についての内容が含まれている場合は、遺言書に基づいた相続手続きが可能です。

 

②手続き用紙を取り寄せ、株式の名義書換又は相続人から預託金返還請求

預託金型が株式型かによって少し手続き内容は変わりますが、ゴルフ場運営会社に連絡して相続手続き書類を送ってもらうように請求しましょう。ゴルフ場によっては郵送では書類を送ってもらえず、ゴルフ場内の事務所まで来て欲しいとい言われることもあります。筆者も過去に何度か相続人と一緒に山奥のゴルフ場に行った
思い出があります。

③相続手続き書類を提出し、承継手続きは完了!
相続人もゴルフをする場合はそのまま承継することもあり得ますが、年会費がかかることがほとんどであるため、多くの方は「処分」されます。有名なゴルフ場であれば、市場価格があるため、ゴルフ会員権の仲介会社経由で売却することも可能です(もっとも、「超名門」と呼ばれるゴルフ場では、逆に自由に取引ができず、そもそも譲渡が認められない場合もあります)。その場合、相続手続きまで含めて「ゴルフ会員権の仲介会社」が手伝ってくれる場合がありますので、売却前提なら仲介会社に相談して頂いても良いかもしれません。
市場価格が付いていないか、著しく低い場合は、預託金や入会保証金の返還手続き(脱会手続き)を行うことになりますが、前述の通り経営状況によってはほとんど還付されない場合もあるため、慎重に判断する必要があります。
また、相続手続き及び譲渡の際には、高額な「名義書換料」が求められる場合もありますので、この辺りの諸費用についてもきちんとチェックしてから処分を検討しましょう。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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