遺言、相続に強くなる!

5-1 公正証書遺言の作成手順


①公証役場で公証人と打ち合わせをする
誰にどの財産を相続させるかなど、遺言書の内容を決めてから最寄りの公証役場を訪ね、公証人と打ち合わせをします。

●必要な書類は?
どのような遺言をするかによって必要な書類が異なるので、公証役場を訪ねる前に電話で確認するといいでしょう。提出書類のコピーを取っておくと、後日文案をチェックするときに役立ちます。

[一般的に必要な書類]
・遺言をする人の印鑑証明書(身元確認のため。マイナンバーカードやパスポートで代替可能なことも)
・遺産を受け取る人の戸籍謄本(相続人の場合)や住民票・住所を書いたメモ(相続人以外の場合)
・預貯金口座を遺言書に記載する場合は、預貯金通帳のコピー(金融機関名・支店名・口座番号等が記載されたページ)
・不動産を遺言書に記載する場合は、不動産の登記事項証明書、固定資産税の納税通知書など

●公正証書遺言の作成手順
①公証役場で公証人と打ち合わせをする
②文案が出来上がったら内容を確認する
③遺言書の作成日時を予約する
④証人2人を用意する
⑤予約日に公証役場を訪ねる
⑥遺言書に署名押印する
⑦正本・謄本を受け取る
⑧相続発生まで正本・謄本を保管する

②文案が出来上がったら内容を確認する
公証役場から、遺言書の文案が出来上がったと連絡を受けたら、直接受け取りに行くか郵送してもらって内容を確認し、訂正があれば伝えます。もし間違っているのに訂正しないまま遺言書を作成すると、将来、家族が遺言書を使った相続手続きを行えない可能性があるので、しっかりチェックしてください。

③遺言書の作成日時を予約する
公証役場に、遺言書を作成する日時を予約します。ついでに、公証役場に支払う手数料を確認するといいでしょう。

④証人2人を用意する
遺言書の作成当日に立ち会う証人を2人用意します。特別な資格は必要ありませんが、次の人は証人になれません。
・未成年者
・将来、遺産を受け取る予定の人(推定相続人や受遺者)とその直系血族(親や子ども等)
・公証人の配偶者や公証役場の従業員等
・文字が読めない人や遺言書の内容を理解できない人

もし、適当な証人が見当たらない場合は、公証人に頼めば紹介してもらえます(1人当たり数5,000円から1万円程度の謝礼が必要)。守秘義務が気になる場合は、弁護士や司法書士に依頼しましょう。

⑤予約日に公証役場を訪ねる
遺言者は実印と手数料 (現金)、証人は認印と身分証明書を持参します。他に公証役場から指定されたものがあれば、それも持参してください。

⑥遺言書に署名押印する
関係者全員(下図参照)一室に集まり、公正証書遺言を作成します。まず、公証人が遺言者に対して生年月日や遺言の内容を質問したあと、遺言書の文面を一字一句読み上げます。もし間違いがあれば、その場で訂正してもらってください。
最後に、遺言者と証人が遺言書に署名押印して完成です。遺言書は原本・正本・謄本の3通が作成されますが、署名押印するのは原本だけです。もし、遺言者が身体障がいなど署名できない事情がある場合は、公証人に代わりに署名してもらえます。

⑦正本・謄本を受け取る
遺言者が手数料を支払ったあと、遺言書の正本・謄本を受け取ります。通常は、A4サイズの遺言書が封筒に入れられますが、封はされていません。各自が署名した原本は、公証役場で半永久的に保管されます。なお、遺言書のタイトルは、「遺言公正証書」です。

⑧相続発生まで正本・謄本を保管する
受け取った公正証書遺言の正本・謄本は、どちらでも将来、相続手続きで使用できます。遺言執行者がいる場合は、正本を保管してもらうといいでしょう。
遺言者が正本・謄本とも自分で保管する場合は、2通とも金庫や貸金庫に入れてしまうと、将来遺族が金庫を開けることができず、遺言書の発見が遅れる可能性があるので、1通は別の場所で保管してください。
[公正証書遺言の例]
令和○年 第○○号
遺言公正証書

本職は遺言者鈴木太郎の嘱託により、証人○○、証人△△の立会のうえ、次のとおり遺言の趣旨を口述筆し、この証書を作成する。

一、遺言者は遺言者の所有する財産中、次の財産を遺言者の長男鈴木浩一(平成○年○月○日生)に相続させる。

(1)土地
所在 東京都新宿区市谷○○町○丁目○番○
宅地 80.99平方メートル (中略)

東京都新宿区市谷○○町○丁目○番○
遺言者 鈴木太郎
昭和○○年○月○日生

上記は法定の印鑑証明の提出により、人違いでないことを証明させた。

東京都○○区○○町○丁目○番○
証人 ○○○○
昭和○年○月○日生

東京都○○区○○町○丁目○番○
証人 △△△△
昭和○年○月○日生

上記遺言者及び証人に読み聞かせたところ、各自筆記の正確なことを承認し、下にそれぞれ署名捺印する。
遺言者 鈴木太郎 (印)
証人 ○○○○ (印)
証人 AAAA(印)

この証書は民法第969条第1号ないし第4号の方式により作成し、同条第五号にもとづき下記に署名捺印する。

令和○年○月○日 本職役場にて
東京都○○区○○町○丁目○番○
公証人 田町一郎 (印)

 


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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