遺言、相続に強くなる!

4-5 将来、自筆証書遺言はどうやって執行する?


将来、遺言をした人が亡くなったあと、遺族が自筆証書遺言を発見して、相続手続きを行う際の流れは次のとおりです。
自筆証書遺言の発見から検認を受けるまで、必要書類をそろえる期間も含めて2か月程度かかります。相続発生後、すみやかに相続手続きをしたい場合は、検認が不要な公正証書遺言を作成すべきでしょう。

<自筆証書遺言執行の流れ>
①相続発生
②家族が自宅等で遺言書(自筆証書遺言)を発見する
・封をしてある場合、勝手に開封すると過料の支払義務を負います。
・法務局で遺言書を保管している場合は、相続人が法務局で遺言書を検索し、「遺言書情報証明書」を受け
取り、遺言書の内容を確認します(遺言書の原本は受け取れません)。
③家庭裁判所で遺言書の「検認」手続きをする
・遺言書を使って相続手続きをするためには、相続発生後に検認を受ける必要があります。
・相続人や受遺者が、必要書類を集めて家庭裁判所に検認の申し立てをします。
・相続人全員に通知が届き、家庭裁判所で検認(遺言書の現状を確認する手続き)が行われます。
・欠席者も、後日遺言書の内容を知ることができます。
・法務局で遺言書を保管した場合、検認は不要です。
④遺言書の内容に問題がないか確認する
・検認を受けたからといって、遺言が有効とは限らないので、遺言書の形式・内容面で問題がないか確認します。判断がつかない場合は、弁護士や司法書士などの専門家にアドバイスを受けましょう。
⑤遺言を執行する
・遺言書の内容に沿って、金融機関で預貯金の解約や名義変更をしたり、不動産の相続登記を行います。
・遺言執行者がいる場合、早めに連絡して遺言を執行してもらいましょう。

<自筆証書遺言の有効・無効はどうやって見分けるの?>
せっかく家庭裁判所で検認を受けても、無効な遺言書を使って相続手続きをすることはできません。遺言書の有効性は、形式面・内容面・遺言能力などによって判断します。

・形式面
本文はすべて自筆で書かれているか、日付・署名・押印があるかなど、民法に定められた形式的な部分をチェックします。また、遺言書は1人で書く必要があるので、夫婦連名で書いた遺言書は無効です。

・内容面
「私の財産は、妻と長男とでうまく分けてください」など、遺言の内容があいまいな場合は無効になる可能性が高いでしょう。また、「静岡の土地を長女に相続させる」など、不動産の所在地や番地があいまいだと、法務局で相続登記ができません。
なお、「妻と同居するのであれば、長男に自宅不動産を相続させる」など、負担付きの遺言書は原則として有効です。

・遺言能力
遺言書を作成できるのは15歳以上という年齢制限があります。また重度の認知症で、遺産の分け方について判断できる状況でなかったような場合、遺言は無効です。

・その他
誰かが無理やり脅して書かせたなど、本人の自由意思で作成しなかった場合、遺言は無効になります。

<ここに注意!>無効な遺言書がもめごとの種になることも
法律知識がない人が自筆証書遺言を作ると、形式・内容面で無効になることがあり、その場合は相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。無効になったことで不利益を受ける相続人が文句を言い出して、もめる可能性があるので、中途半端な遺言書なら作らないほうがましだといえるでしょう。

【コラム】年を取った親を過信しない
人はいくつになっても、どこかで親を頼りにしているものです。つい、「うちの親は大丈夫だろう」と過信してしまい、認知症が進行しているのに気づかなかったり、詐欺にあって財産を失うのを見逃してしまうこともあるかもしれません。そうなってから、あわてて親の財産管理や相続対策をしようと思っても手遅れです。
昔から、「人は年をとると赤子に返る」といいます。年をとると親子の立場は逆転し、子どもが親の面倒を見なければならなくなる日が必ず来ます。そのときに親の財産がなくて困ったということのないよう、今から覚悟を決めて、親子で少しずつ将来の準備を進めていきましょう。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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