『会社設立のポイント』

4-3-(2) 登記申請書をつくろう


●登記申請書の作成時の注意点
①登記申請書は、パソコンやワープロで作成し、プリンターから出力します。手書きでもかまいませんが、鉛筆書きは不可なので、黒インクのボールペンなどで書きます。
②申請書は横書きで書きます。
③用紙は、A4サイズの用紙を用いて、紙質は登記申請書の保存期間である5年に耐える程度の用紙を使用します。一般的な白色のコピー用紙でかまいません。
④登記申請書(「登録免許税納付用台紙」含む)が2枚以上にわたる場合は契印をし、訂正がある場合には訂正印を押して「O字削除」「○字加筆」と記載する点は、定款の作成のときと同じです。
⑤登記申請書は、登記すべき事項の記載用としてデータ用の「CD-R、DVD-Rなどの電磁的記録媒体」、収入印紙を貼る用紙として「登録免許税納付用台紙」を別で用意します。登記申請書例を参考に、パソコンやワープロで一から作成してもかまいませんが、法務局のサイト (http://www.homukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)から申請書などをダウンロード
できるので利用すると便利です。
登記申請書の1枚目の最上部は、受付番号票の貼付欄としてスペースを空けておきます。また、登記・供託オンライン申請システムを利用して、登記申請書を作成することもできます。QRコードが印字され、このQRコード付き書面申請をおこなうと、インターネット上で登記の処理状況を確認できたり、必須項目の入力もれを確認する機能があるため、より正確に申請書を作成したりできます。詳細は法務省のサイト(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00001.html)をご確認ください。

●登記申請書の記載のしかた
・登記の事由(①)
「登記の事由」は、発起設立の場合は「平成○○年○月○日発起設立の手続終了」と記載します。
「発起設立の手続きが終了した年月日」は、通常は取締役が行う出資の履行の調査などが終わった日になるので、「払込を証する証明書に記載した年月日」を記入します。
そして、発起設立の手続きが終了した年月日として記入した日から、2週間以内に登記の申請を行います。

 

・登記すべき事項(②)
「登記すべき事項」は、登記申請書の中で最も重要な部分です。ここに記載または記録している内容どおりに登記がされます。「登記する事項一覧」に記載している登記事項を書きますが、実務上は、実際の申請書には「別添CD-Rのとおり」と記載し、別途、CD-RやDVD-Rなどの電磁的記録媒体に入力したものを提出します。CD-Rなどを提出する代わりに、オンラインによりあらかじめ情報を提出することもできます。その場合は、「別紙のとおりの内容をオンラインにより提出済み」と申請書に記載し、送信後に届いた「到達通知」を印刷して登記申請書などとともに提出します。「登記すべき事項」に記入した内容が登記に反映されるので、会社の商号や目的などは定款に記載してあるとおりに、役員の住所・氏名については印鑑証明書に記載してあるとおりに、正確に記載します。

 

・課税標準金額(③)
「課税標準金額」とは、登録免許税を算出するもとになる金額で、設立の場合は、「資本金の額」を記載します。桁が大きい場合は、「億」「万」などの単位を示す文字を用いてかまいませんが、「千」は使用しません。
たとえば、300万円、300万5,000円といったような書き方をします。また、1,000円未満は切り捨て、資本金の領が1円の場合のように、1,000円未満の場合は、1,000円と記載します。

・登録免許税(④)
登記のときにかかる税金である「登録免許税」は、「資本金の額の1,000分の7(0.7%)」となります。算出した領が 15万円に満たない場合は、15万円となります。100円未満の端数があるときは、その端数金額は切
り捨てます。
資本金の額が100万円の場合、1,000分の7を乗じた額が7,000円となり、15万円に満たないので登録免許税は15万円となります。ちなみに登録免許税が15万円を超えるのは、資本金の額が約2,200万円以上の場合になるので、中小企業の多くの会社で登録免許税は15万円となります。
登録免許税は、あとから納めるのではなく、登記の申請のときに納めます。よって、登録免許税を納めなければ、いくら書類がそろっていても登記が完了しません。

 

資本金が100万円 :100万円×0.7% = 7,000円<15万円
⇒ 登録免許税は15万円
資本金が 1,000万円:1,000万円 ×0.7%=7万円 <15万円
⇒ 登録免許税は15万円
資本金が3,000万円:3,000万円 ×0.7% = 21万円>15万円
⇒ 登録免許税は21万円

・申請日、申請人(5)
申請人として会社の本店(住所)、商号、代表取締役の住所・氏名を記載します。補正がある場合、連絡をもらえるように連絡先電話番号も記入しておきます。連絡先電話番号は日中連絡が取れる番号を書きます。
携帯電話の番号でもかまいません。法務局によっては、申請書の左上に鉛筆書きで連絡先および担当者名を記載するよう指示するところもあるので、事前に窓口で確認してください。

 

・申請先法務局名(6)
最後に、申請書を提出する法務局名を記載します。会社の本店が東京都中央区にある場合は、東京法務局が管轄になるので、「東京法務局御中」と記載します。

 

●登録免許税納付用台紙は自作します
「登録免許税」は「収入印紙」で納めます。法務局の窓口で、現金で登録免許税を支払うことはできないので、収入印紙を購入して台紙に、貼り付けておきます。登記申請書の余白に貼り付けてもかまいませんが、登記申請書に不備があって差し替える場合に支障があるので、別に台紙を用意します。台紙はA4のコピー用紙でもかまいません。台紙となる紙を用意し、真ん中あたりに収入印紙を貼ります。
収入印紙には、消印をしないでください。汚したり、消印をすると、無効になってしまいます。収入印紙は郵便局で購入できるほか、法務局内の印紙売場でも購入できます。15万円分の収入印紙を購入すればよいので、印紙の額面の組みあわせは自由でかまいません。
登記申請書と登録免許税納付用台紙は、ほかの添付書類と一緒にホチキスでとじ、登記申請書と登録免許税納付用台紙との継ぎ目に会社実印で契印をします。

●書面申請とオンライン申請について
申請方法は、書面申請とオンライン申請の2つがあります。オンライン申請の方が迅速ではありますが、電子証明書を持っていて申請用総合ソフトを利用できる場合に限られます。環境が整っていない人にとってはハードルが高く、機器を一から揃えるために費用と手間がかかるため、書面申請の方が簡易です。書面申請の場合には、登記すべき事項を「事前に登記すべき事項をオンラインで提出する方法」か「電磁的記録媒体を提出する方法」で進めます。

●「事前に登記すべき事項をオンラインで提出する方法」について
前述のとおり「登記すべき事項」は、そこに記載している内容どおりに登記がされるため、登記申請書の中で最も重要な部分です。登記すべき事項を登記申請書そのものに入力して申請をすると、法務局で一から入力しなおさなければならず、非常に処理スピードが落ちます。また、人の手によるものなので入力ミスも出てしまいます。そこで、実務上は、CD-Rなどの電磁的記録媒体に記録して提出する方法か、事前に登記すべき事項をオンラインで提出する方法のいずれかによって、簡易迅速に登記を進めることになっています。
オンラインで提出する方法による場合は、ソフトのダウンロードが必要となるので、詳細は、法務省の「登記・供託オンライン申請システムによる登記事項の提出について」(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00051.html)を参考にしてください。

CD-Rなどの電磁的記録媒体による方法とオンラインで提出する方法とどちらが簡便かは、インターネット環境やPC操作スキルにもよるため、一概にどちらがいいとは言えません。オンラインで提出する方法のメリットを挙げておくので、自身で便のいいほうを利用してください。

 

●オンラインで提出する方法のメリット
①提出した際の登記すべき事項の情報を利用して、登記申請書を簡単に作成することができる
※ 登記申請書は別途窓口に提出または送付する必要があります
②CD-Rなどの電磁的記録媒体を用意する必要がない
③オンラインによって、受付番号、補正、手続終了などのお知らせを受けることができる
※ 電子定款の認証と違い、電子署名、電子証明書の添付は必要ありません

 

●代表取締役以外の役員の本人確認証明書(取締役会設置会社の場合)
平成27年2月27日から、役員の提出書類が一部変更になりました。代表取締役以外の役員(取締役、監査役など)につき、印鑑証明書を提出しないときにかぎり、本人確認証明書(詳細は下記参照)を提出することになりました。虚偽名義、架空名義で登記されてしまうことを防ぐためです。具体的にいうと、取締役会を設置する会社で、代表取締役以外の取締役、監査役などが該当します。取締役会を設置しない会社については、そもそも取締役全員が印鑑証明書を提出するため問題にはなりませんが、監査役を置く場合は、監査役の本人確認証明書が必要になります。また、役員の氏名に婚姻前の氏も登記することができるようになりました。その場合は、登記申請書に婚姻前の氏も記載し、それを証する書面として戸籍謄本・戸籍抄本・戸籍の記録事項証明書のいずれかの書面を添付します。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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