遺言、相続に強くなる!

4-3 自筆証書遺言を保管する


<自宅で保管する場合は、紛失に注意>
自筆証書遺言の作成後、自宅の机の引き出しや金庫などで保管する人が多いのではないでしょうか。その場合は、次の点に注意してください。

●遺言書がどこにあるか把握できるようにしておく
通常、遺言書を入れた封筒は小さいため、相続発生まで数年、数十年たつうちに、行方不明になる可能性があります。筆者も、「相続発生から○年後に遺言書が出てきた」という話を、何度か耳にしました。遺言書は、生命保険証券や不動産の権利証とともに、書類整理箱に入れるなどして、常にどこにあるのかを把握できるようにしましょう。

●遺言書の存在を信頼できる人に知らせておく
遺言書を作ったことを誰にも知られたくない気持ちはわかりますが、誰も遺言書の存在を知らなければ、いざ相続が発生したとき、遺言を行に移すことができません。もし、子どもたちには知られたくないという場合でも、配偶者には遺言書の存在と保管場所を伝えたほうがいいでしょう。遺言書を金庫に保管する場合は、開錠方法も伝えるようにしてください。

<貸金庫で保管すると、開錠できない可能性がある>
自筆証書遺言を貸金庫で保管した場合、相続発生後、相続人が開錠に手間取って遺言書の発見に時間がかかることがあります。貸金庫の開錠手続きには相続人全員の同意が必要なので、協力しない人がいると遺言書を見ることができません。
もし、貸金庫で遺言書を保管する場合は、生前のうちに家族がカードなどで開錠できるように手続きして、何かあったらすみやかに取り出してもらうように伝えたほうがいいでしょう。

<遺言執行者や受遺者に遺言書を預けておく>
遺言執行者を指定している場合は、将来その人が遺言を執行することになるので、あらかじめ遺言書を預けておきましょう。
また、遺言書の存在を明かしても構わない場合は、相続人や受遺者に遺言書を渡しておくのも1つの方法です。
その人が相続人以外の第三者である場合は、相続人の情報(氏名や続柄、住所など)もある程度伝えたほうがいいでしょう。というのは、将来、相手が家庭裁判所に自筆証書遺言を持参して検認手続きを申し出る際に、相続人の情報を伝える必要があるからです。その人が相続人の情報を取得するのが難しい場合は、弁護士に依頼すれば代行してくれます。
もし、遺言執行者や受遺者に遺言書を預ける場合は、将来遺言をした人が亡くなったらそのことがすぐに伝わるよう、生前のうちに葬儀の際の連絡先リストを作り、彼らの連絡先を載せておくと安心です。

<法務局で保管してもらう>
このように、自筆証書遺言を将来の相続発生まで、誰がどこで保管するかは難しい問題です。これを解決するために、2020年7月10日から、一部の法務局(遺言書保管所)で自筆証書遺言を保管する制度(自筆遺言書保管制度)がスタートしました。
これにより、自筆証書遺言の紛失や変造を防げるだけでなく、保管時に遺言書の形式をチェックしてくれるので、形式ミスで遺言が無効になるおそれがありません。また、家庭裁判所の検認手続きを受けずに相続手続きが行えるなど、さまざまなメリットがあります。
法務局での保管は義務ではありませんが、遺言書を安全に保管したい人や、将来、相続人が遺言書を発見しやすくしたい人にはおすすめの制度です。

【One Point】法務局で保管すれば検認は不要
自筆証書遺言をもとに預貯金や不動産の相続手続きを行うには、事前に家庭裁判所で検認を受ける必要がありますが、法務局で保管すれば検認は不要なので、相続手続きを迅速に行えます。
ただし、保管時に遺言書の内容まではチェックしないので、検認を受けても遺言書の内容が有効であるとは限らない点に注意が必要です。

<法務局での遺言書保管のポイント>
・遺言書のサイズや余白のスペースなど様式が定められているので、その通りに作成する必要がある。
・遺言書は封筒に入れないで、原本を法務局に提出する。
・法務局で、遺言書の日付や署名の有無などの形式面をチェックされるが、内容はチェックされない。
・遺言書の保管の申請手数料が、1通あたり3,900円かかる。
遺言書を書き替える場合は、前の遺言書を返してもらい、新た
に作成した遺言書を預ける。
・相続発生後、相続人や受遺者・遺言執行者が法務局で遺言書を閲覧したり、遺言書の内容の証明書を取得して、相続手続きを行うことになる。その際、他の相続人に対して、法務局に遺言書を保管している旨が通知されるので、遺言書の存在を秘密にすることはできない。
・相続発生後、家庭裁判所で遺言書の検認を受ける必要はない。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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