遺言、相続に強くなる!

4-1 法改正により、自筆証書遺言が作りやすくなった


●手順に沿って遺言書を作ろう
いよいよ遺言書を自分で作成してみましょう。だたし、思いつくままに書き始めると、途中で書き間違えて最初から書き直すはめになりがちです。また、遺言書を作ったらそれで終わりではなく、将来確実に実行してもらうため、保管方法にも注意する必要があります。そこで、自筆証書遺言は、次のような手順に沿って作るとよいでしょう。

<自筆証書遺言の作成手順>
① 自分の相続人と財産内容を把握する
②誰にどの財産をあげるかを決める
③遺言書を下書きする
④ 遺言書を清書する
⑤ 封筒に入れて封印する
⑥ 遺言書を保管する

●「全文を自分で書く」必要がなくなった!
これまで自筆証書遺言は、遺言をする人が本文・日付・氏名等を手書きし、押印する必要がありました。すべて手書きする必要があったたり、高齢者や持病のある人にとってはハードルが高く、それ以外の人にとっても、相続人や財産の種類が多い場合は負担が大きいものでした。

しかし、相続法改正により、2019年1月13日以降に作成される遺言書の「財産目録」については、手書き以外の方法でも作成できることになりました。

そのため、現在、自筆証書遺言の作成方法には次の3パターンが存在します。ただし、どのパターンでも「本文は必ずすべて手書きしなければならない」ことに注意してください。

●自筆証書遺言の作成パターンは3つある
①本文、財産目録のすべてを手書きする
②本文を手書きし、財産目録はパソコンで作成する
③本文を手書きし、財産目録は預金通帳のコピーなどを添付する

①本文、財産目録のすべてを手書きするパターン
もっとも基本的なパターンです。通常は、「タイトル・本文・日付・住所・氏名」を手書きしたうえで、押印します(認印でも可能ですが、本人であることを証明しやすいので実印が望ましい)。書き方は、縦書きでも横書きでも構いません。

・すべて手書きする場合の文例
[文例]
遺言書
私鈴木太郎(昭和24年1月1日生)は、私の所有する以下の不動産及び預貯金を含むすべての財産を、私の妻鈴木花子 (昭和25年3月4日生)に相続させる。

1 不動産
(1) 土地
所在 新宿区市谷左内町〇〇T目
地番 〇〇番○
地目 宅地
地積 75平方メートル

(2) 建物
(略)

2 預貯金
左内坂銀行市谷支店 普通預金 口座番号0000

3株式
○○株式会社(本店所在地(略)) 100株

4 私は、遺言執行者として、私の妻鈴木花子を指定する。

付言事項
私はこれまで長い間、妻花子に大変お世話になった。ありがとう。子どもはいなかったが、楽しい人生で満足している。

令和3年8月10日
東京都新宿区市谷左内町〇〇丁目〇〇番○号
鈴木太郎 印

②本文を手書きし、財産目録はパソコンで作成するパターン
本文を手書きしたうえで、パソコンで「財産目録」を作成し、印字したものを「別紙」として添付します。財産目録のすべてのページに(裏面に印字した場合は裏面にも)、手書きで署名・押印する必要があります。

・本文を手書きし、財産目録はパソコンで作成する場合の文例

[本文]
遺言書
1 私鈴木太郎(昭和24年1月1日生)は、私の所有する別紙目録第1記載の不動産を、私の妻鈴木花子(昭和25年3月4日生)に相続させる。

2 私は、私の有する別紙目録第2記載の預貯金を、私の長男鈴木一太(昭和53年6月4日生)に相続させる。

3 私は、上記1及び2の財産以外の預貯金、有価証券その他一切の財産を、私の妻鈴木花子に相続させる。

4 私は、この遺言の遺言執行者として、私の長男鈴木一太を指定する。

令和3年8月10日
東京都新宿区市谷左内町〇〇丁目〇〇番○号
鈴木太郎 印

「財産目録]
別紙
第1 不動産
1 土地
所在 東京都新宿区市谷左内町○○丁目
地番 ○○番○
   地目 宅地
地積 75平方メートル
2 建物
所在   東京都新宿区市谷左内町○○丁目
家屋番号 ○○番○
種類     居宅
構造     木造スレート葺2階建
床面積      1階60平方メートル2階50平方メートル
第2 預貯金
1 〇〇銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○
2 ゆうちょ銀行 通常貯金 記号○○○ 番号○○○
鈴木太郎 印
③本文を手書きし、財産目録は預金通帳のコピーなどを添付するパターン
本文を手書きしたうえで、遺言書の別紙として、不動産の登記事項証明書や預金通帳のコピー(銀行名・支店名・名義人・口座番号・金の種類がわかるページ)を添付します。財産目録をパソコンで作成する場合と同様、すべてのページに署名押印します。複数枚にわたる場合は、「1/2」「2/2」のように通し番号を付けるといいでしょう。
・本文を手書きし、財産目録は通帳などのコピーを添付する場合の文例
[本文]
遺言書
1 私鈴木太郎(昭和24年1月1日生)は、私の所有する別紙1の不動産を、遺言者の妻鈴木花子(昭和25年3月4生)に相続させる。
2 私は、私の所有する別紙2の預金を、私の長男鈴木一太(昭和53年6月4日生)に相続させる。
3 遺言執行者を長男鈴木一太とする。
令和3年8月10日
東京都新宿区市谷左内町〇〇丁目〇〇番○号
鈴木太郎 印

森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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