遺言、相続に強くなる!

3-5 遺言書の種類を選ぶ


●自筆証書遺言と公正証書遺言が一般的
一般的な遺言書として、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

●自筆証書遺言
民法で定められた方式に従い、自分自身で紙に書いて作成する方法です。本文は自筆で書く必要がありますが、財産目録はパソコンで作成したり、預金通帳のコピーや登記簿謄本で代用することが可能です。

簡単に作れるのが一番のメリットとはいえ、法律の知識がない人が作成した場合、方式や内容が間違っていて実行できないことが少なくありません。また、自筆証書遺言を相続手続きで使用するには家庭裁判所の検認手続きを受ける必要があるため、実行に時間がかかります。なお、法務局で遺言書を保管してもらう場合は検認不要です。

●公正証書遺言
公証役場の公証人に遺言の内容を伝え、文面を作成してもらうという方法です。作成期間は1か月ほどで、数万円から数十万円程度の費用がかかりますが、将来、方式の不備で無効になる可能性が低く、その点では安心です。また、公証人が本人と面談するため、将来、遺言能力が問題になる可能性が低いことや、検認不要なので、相続手続きがすみやかに行える点もメリットといえるでしょう。

●おすすめは公正証書遺言
自筆証書遺言と公正証書遺言には、それぞれ一長一短がありますが、自分の親や祖父母に作ってもらうつもりだったり、将来確実に執行されるようにしたいと考えているのなら、公正証書遺言をおすすめします。
理由は次のとおりです。

●自筆証書遺言は相続手続きで使えないケースが多い
自筆証書遺言は、全文を自分で考え、手書きするのが原則なので、書くのに手間がかかり、高齢者には難しい場合があります。
また、相続人からすると、遺言者の筆跡が達筆すぎて読めなかったり、使われている用語が法律的に間違っているなど、問題があるケースが少なくありません。その場合は、相続手続きで使うことができず、結局、相続人全員で遺産分割協議をすることになるため、せっかく遺言書を作った意味がなくなります。
さらに、「遺言書の筆跡は本当に本人のものなのか」、「無理やり書かされたんじゃないか」、「認知症で遺言能力がなかったんじゃないか」など、有効性をめぐって裁判沙汰になるケースもあります。そうなれば、相続人同士で長期間にわたり、不毛な争いが繰り広げられることになりかねません。
このように、自筆証書遺言は作るのは簡単でも、執行するのが難しいという大きな問題があるのです。

● 公正証書遺言は実用性が高い
それに対して、公正証書遺言は、公証役場で作る手間や費用がかかるものの、方式面で問題が生じることはほとんどありません。また、作成の際、公証人が本人の遺言能力をチェックします。相続発生後は検認手続きが不要なので、すみやかに預貯金や不動産の相続手続きができるというメリットがあり、相続人や受遺者は助かるでしょう。

唯一のデメリットは費用がかかることですが、将来、子どもたちが相続手続きのために何度も帰省するための費用や手間、あるいはトラブルになったときの裁判費用や精神的な負担を考えると、安いものだといえるのではないでしょうか。今のうちに、親が相続手続きにかかる費用を子どもの代わりに払ってあげるという考え方もできるでしょう。

遺言書を作るときは、「今、自分が楽をする」のではなく、「将来家族が楽をする」ことが大切だと、考えてみてはいかがでしょうか。

「公正証書遺言にしたほうがいいケース]
・相続手続きで家族に手間をかけたくない
・遺言を確実に執行してほしい
・相続人以外に財産を遺贈したい
・将来、遺産の分け方をめぐって家族がもめそう
・財産の種類が多い
・廃除や認知など相続人にとって不利益な遺言をしたい

「自筆証書遺言でも問題がなさそうなケース]
・預貯金を法定相続分どおりに相続させたい
・自宅の持ち分や預貯金を配偶者に相続させたい
・相続手続きの負担を減らすために、財産の内容を家族に知らせたい
・遺言執行者や祭祀の主宰者だけ遺言書で指定したい


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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