『相続実務のツボとコツ』

3-3 不動産を相続や贈与で引き継いだときにかかる税金について


<不動産を引き継いだときにかかる税金>
土地や建物といった不動産は、数多くの種類の税金がかかります。たとえば、不動産を持っているだけで「固定資産税」や「都市計画税」といった税金がかかりますし、売却時には所得税がかかります。その他にも、不動産を取得した場合に課税される、「不動産取得税」や「登録免許税」といった税金もあります。

このように相続が起こった時は、相続税以外の税金の支払いも必要です。不動産を引き継いだときにどのような税金がかかるのか、確認していきましょう。

<不動産からの賃貸収入があるときや、売却時には所得税>
所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの金額(課税所得)に税率を乗じ税額を計算します。たとえば、貸しアパートからの賃貸収入があるときは「不動産所得」として、不動産を売却したときは「譲渡所得」として、所得税の確定申告を行う必要があります。

なお、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年超の土地や建物を売却した場合の所得税等の税金は、以下の通りです。

(譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用))×20.315%
(内訳:所得税15% +復興特別所得税0.315%+住民税5%)

つまり、不動産を売却して儲けが出た場合、儲けに対して約20%の所得税の支払いが生じるということです。なお、儲けとは、譲渡価額(売却額)から取得費と譲渡用を差し引いた金額です。

取得費とは、土地の購入代金や購入手数料などの合計額です。また、譲渡費用とは、土地や建物を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人に支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などが該当します。

なお、相続によって取得した不動産の取得費は、死亡した人がその土地を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算します。ただし、先祖代々の土地は、取得費が安かったり、いくらで取得したか不明な場合もあります。そのようなときは、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とする等の取り扱いがあります。難しいと感じる場合は、不動産を売却したときは、最大で売却額の20%程度の所得税等が発生すると理解しておけば良いでしょう。

なお、相続によって不動産を取得した際、相続税が課税されており、その不動産を亡くなってから3年10か月以内(相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)に売却した場合には、支払った相続税額の一部を取得費に加算する、相続税額の取得費加算(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例) という取り扱いがあります。

そのため、相続税がかかった財産をすぐに売却したときは、所得税の支払いを抑えることができます。

<不動産を引き継いだ時にかかる不動産取得税と登録免許税>
不動産を贈与などによって引き継いだときは不動産取得税という税金がかかります。また、相続や贈与などによって不動産を引き継いだときは、登録免許税という税金がかかります。

登録免許税は相続・贈与どちらによって不動産を引き継いでもかかりますが、税率が異なります。また、不動産取得税は、相続によって不動産を引き継いだときはかからないという特徴があります。結論だけ言えば、どちらも相続より贈与の方が多額の税金がかかります。

 


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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