『入管法の実務』

3-2-(1) 入管法7条1項柱書


(入国審査官の審査)
第7条 入国審査官は、前条第2項の申請があったときは、当該外国人が次の各号(第26条第1項の規定により再入国の許可を受けている者又は第61条2の12第1項の規定により交付を受けた難民旅行証明書を所持している者については、第1号及び第4号)に掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。

外国人が日本に上陸しようとする場合は、原則として、上記1 (2)の上陸のための条件①~④(法7IO~の)を全て満たさなければなりません。

再入国許可(法26I。入管法6条1項かっこ書により、入管法26条の2第1項のみなし再入国許可を含みます。)を得ている外国人及び難民認定証明書(法61の2の12I)を所持している外国人が上陸しようとする場合は、上陸のための条件のうち、①旅券の有効性(入管法6条1項ただし書により査証は不要です。)及び上陸拒否事由非該当性のみが審査されます(法7I かっこ書)。

 

したがって、上陸申請の時点で、②在留資格該当性 (法71②)を喪失していることが判明したときであっても、①旅券の有効性及び上陸拒否事由非該当性を満たす限りは、入管法9条1項により上陸は許可されます(羈束行為です。)。

 

もっとも、当該外国人については、入国管理局の要注意在留外国人等リスト (在留BL)に登載され、次の在留期間更新許可申請等の際に在留資格該当性等が慎重に審査されます。また、当該外国人が入管法22条の4第1項各号に定める在留資格取消事由のいずれかに該当すると思われる場合には、住居地等を管轄する地方入国管理局の長に対して通報等が行われますので、再入国後に在留資格取消手続が立件される可能性があります。再入国許可(入管特例法23条2項で準用される入管法26条の2第1項のみなし再入国許可及び上陸拒否事由発生前に得ている通常の再入国許可を含みます。)を得て上陸する特別永住者については、「旅券の有効性のみが審査されます(入管特例法20)。

 

よって、特別永住者については、退去強制事由(入管特例法221)に該当しなければ、上陸拒否事由(法5)に該当していても、みなし再入国許可により出国することによって、2年以内であれば(入管特例法2311)、上陸拒否の特例の適用(法5の2) や上陸特別許可(法121)を得るまでもなく、入国審査官から、通常の上陸許可を得て、再入国できます(入管特例法20)。

 

ただし、入管特例法22条1項4号、入管法26条の2第1項ただし書、入管法施行規則29条の4第1項5号により、みなし再入国許可の適用を受けられない場合に注意する必要があります。それに対して、特別永住者以外の一般外国人が、退去強制事由(法21)には該当しないものの上陸拒否事由(法5)に該当する場合(例えば、懲役3年執行猶予5年の有罪判決を受け、同判決が確定したため、入管法5条1項4号に該当する「永住者」が、執行猶予期間中に、いったん日本を出国し、再入国しようとする場合)には、特別永住者とは異なって、④上陸拒否事由非該当性の審査を免れません。

 

よって、みなし再入国許可(法26の2)で出国するのではなく、通常の再入国許可(法261)を得るとともに、当該上陸拒否事由によっては上陸を許否しない旨の入管法5条の2、入管法施行規則4条の2第2項に基づく入管法施行規則別記第1号様式による通知書の交付を受けた上で出国し、再入国の際に上陸拒否の特例の適用を受けるべきです。

 

再入国許可を得ている外国人に対する審査が緩和されるのは、次の理由によります。すなわち、外国人の再入国の自由も、在留の自由と同様に、憲法上保障されているわけではありません(最判平4・11・16裁判集民166・575。な川キャサリーン事件)。

 

しかし、審査により日本在留を認めても差し支えないものとして既に有効な在留資格が認められている者であり、さらに、日本を出国する前に、その者の再入国を認めるべきか否かが事前に審査されている(法261)、あるいは、出入国の公正な管理の観点から不相当な場合はみなし再入国許可の対象から除外されている(法26の21ただし書)ため、そのような者に対する上陸審査手続は緩和するのが行政効率上妥当であるからです。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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