『離婚のツボとコツ』

3-2 芸能人のように億の慰謝料が欲しい!


<ニュースで有名芸能人が1億の慰謝料を支払ったと言っていました>
先日、テレビをみていたら、浮気が原因で離婚した芸能人が、同じく芸能人の配偶者に、1億円の慰謝料を支払った、というニュースが流れていました。
芸能人と一般人で慰謝料の金額に差があるのはおかしいと思うので、私も1億円の慰謝料を請求したいと思います。

 

<話し合いのコツ>
●本人に合意があれば、原則として問題はありません
慰謝料には、相場というものがあります。しかし、あくまで相場は相場にすぎません。我が国の法律は、2人の間のお金の問題について、2人の間で合意があれば、原則としてそれを尊重する、という態度をとっています(もちろん例外もあり、例えば、養育費をいらない、ということはできません。2-1節参照)。

 

したがって、あなたが感謝料として1億円の支払いを希望していて、相手がそれに応じる気があるのであれば、慰謝料は1億円で問題ありません(とはいえ、例えば無収入の相手に、1億円の慰謝料を支払うという約束をさせても、その約束は様々な理由で無効になるケースがほとんどではないかと思います)。

 

逆に、あなたが感謝料として10万円しか請求する気持ちがなくても、相手がそれに応じないのであれば、裁判手続を利用して、支払ってもらうしかありません。

個人的には、芸能人が離婚に伴い1億円の慰謝料を支払ったという話は、本当は慰謝料の話ではなく、財産分与の話なのではないかと思っています。

 

余談ですが、1億円の慰謝料請求訴訟を起こす場合、裁判所に収める手数料(印紙代)は、32万円になります。

◎話し合いのコツポイント
億の慰謝料は、実際には財産分与である場合がほとんどだと思います。

 

<法律上のツボ>
●財産分与ってなに?
財産分与については、民法に以下のような定めがあります。

 

【条文】
民法768条(財産分与)
1 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

 

民法768条1項は、「協議上の離婚をした者の一方は」と定めていますが、同条が認める財産分与は、離婚の種類(協議離婚、調停離婚(決定離婚)、裁判離婚)に関わらず、請求することができます。

財産分与とは、簡単に言ってしまうと、婚姻中に形成した財産は2人の協力で作り上げたものだから、離婚する場合には、2人できちんと分配しなさい、という制度です。そして、この分配の比率は、夫婦共働きの場合、一方が専業主婦(夫)の場合、いずれの場合も、特段の事情がない限り半分ずつということになります。

 

例えば、婚姻中に、夫名義で300万円の貯金、妻名義で100万円の貯金を作ることができたのであれば、夫から妻へ150万円、妻から夫へ50万円分与することになります(実際には、夫から妻へ100万円支払うという形をとることがほとんどです)。

芸能人は稼ぎも多いですから、億の慰謝料というのは、実際にはこの財産分与の部分も合わせての金額なのだと思います。

◎法律上のツボポイント
離婚に際しては、婚姻中に形成した財産を、原則として1:1で分け合います。

 

【用語の解説】

・慰謝料:精神的な苦痛に対する損害賠償(金銭請求)。詳細については、3-1節参照。
・養育費:親が支払わなくてはならない、子どもの生活費。親権者でなくなっても、親子関係はなくならない。詳細については、2-5節参照。
・財産分与:婚姻中に夫婦で形成した財産を、離婚に伴い分配・清算する手続き。詳細については、3-2節参照。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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