『離婚のツボとコツ』

3-11 子ども名義の預貯金は財産分与の対象になるの?


<学費に使おうとおもっていたのですが>
子どもが生まれてから、子ども名義の口座をつくりました。将来、子どもが行きたい学校に行かせてあげられるようにと、2人の収入から少しずつ預金をしていました。結構な金額になるのですが、これも財産分与の対象となるのでしょうか。

<話し合いのコツ>
●財産分与の対象になってしまうとしても
冒頭のケースのような場合、結論としては、財産分与の対象になってしまう場合がほとんどだと思います。

こういった、親が子どもの将来や教育計画を考えて収入等から積み立ててきた預金は、財産分与の対象となってしまう可能性が高い預金です。他方で、子どもの将来のために積み立ててきた預金が、財産分与で半分にされてしまうと、子どもの教育計画やライフプランニングは、大きな影響を受けます。

法律上は財産分与の対象となってしまうことを前提に、子どもに充実した教育を受ける機会を保証するため、子どもの将来のために積み立ててきた子ども名義の預金について、親権者になった方が全て取得する、といった話し合いをすることも考えられます。

また、親権者になる親の財産管理に不安がある場合には、子ども名義の預金について、一旦財産分与を行った上で、子どもの進学時に、この時取得した預金相当額を支払う、という合意をする方法も考えられます。

◎話し合いのコツポイント
子どもの将来のため、という預金の目的を強調してみて。

<法律上のツボ>
●名義で決まるわけではありません
子ども名義の預貯金が財産分与の対象になるか否かについて、裁判例は、名義が子どもだから、という形式的な判断をしているわけではなく、その預貯金の原資等を考慮し、実質的な判断をしています。

例えば、祖父母から子への贈与(あるいは遺贈)を貯めていた口座であったり、父母いずれかの特有財産を子どもの名義に変えた口座であったり、子どもの障害年金を貯めていた口座であったりした場合には、その口座内の預金は、そもそも婚姻期間中に夫婦の協力で形成された財産とは言い難いため、財産分与の対象とはされていないようです。

また、子どもがアルバイトをして貯めたお金が入っている口座や、親が子に贈与したお金が入っていると考えられる口座、子どもが管理していると考えられる口座(子どもが管理していると言えるかどうかは、子どもの年齢を基準に判断されますが、預貯金額によって基準となる年齢も変わるのではないかと思います)等、要するに実質的に見て子どもの口座であると言える口座内の預貯金は、夫婦の共有財産ではなく、子どもの特有財産として、財産分与の対象とはされていないようです。

他方で、子どもの将来の学費や生活費として、夫婦の収入等を子ども名義の口座に預金しているにすぎない場合には、その口座内の預金は夫婦の共有財産として、財産分与の対象になっているようです。

冒頭のケースのような場合、原則としては、2人の収入という夫婦のお金を子ども名義の口座に預金をしているにすぎないと評価され、その口座内の預金は財産分与の対象となる可能性が高いと思います。ただ、例えば子どもがすでに高校3年生で、大学の学費として預金口座の存在を具体的な金額と共に知らされていたり、あるいは、すでに預金口座の通帳と印鑑を渡されていたりする場合には、結論は変わってくるように思います。

◎法律上のツボポイント
子どもの名義を借りているだけだと、財産分与の対象になりそうです。

◎用語の解説
・財産分与:婚姻中に夫婦で形成した財産を、離婚に伴い分配・清算する手続き。詳細については、3-2節参照。
・親権【親権者】 : ①子どものしつけや日常生活の世話 (監護教育)と②子どもの代わりに契約や財産の管理(法定代理人)をする権限【その権限を持つ者】。詳細については、2-1 節参照。
・特有財産:夫婦の一方が、婚姻前から有していた、あるいは、婚姻中に夫婦の協力とは関係なく手にいれた財産。財産分与の対象にならない。

【コラム】親からもらった財産は、財産分与の対象になるの?
3-8節でも若干触れていますが、親から相続した財産や、親から贈与を受けた財産は、婚姻期間中にその相続や贈与があった場合であっても、財産分与の対象にはなりません。財産分与は、あくまで婚姻期間中に夫婦の協力で形成された財産を清算することを目的とするものだからです。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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