『離婚のツボとコツ』

2-8 再婚したら養育費はどうなりますか?


<新しい父親ができるようです...>
前妻と離婚した時、前妻との間に子どもを1人もうけていました。子どもは前妻と一緒に暮らすことになり、今までずっと養育費を支払ってきました。

今度、私は子連れの女性と再婚することになりました。私は、その女性の連れ子と養子縁組をする予定で、今まで支払ってきた養育費は、今後はその子のために使いたいと思っています。

実は、前妻も今度再婚し、子どももその再婚相手の男性と養子縁組をするそうです。そうなったら、前妻にはもう養育費を支払わなくてもいいですよ?

<話し合いのコツ>
●子どもと一緒に暮らしている親が再婚しても、自分の子は自分の子
離婚して親権者でなくなったとしても、法律上の親子関係はなくなりません。依然として親であり子である関係は続ききます(2-1節参照)。養育費は子を扶養する義務に基づいて支払っているものですから、子どもと一緒に暮らしている親の再婚や自分の再婚に関わらず、自分の子どもである限り、支払う必要があります。

他方で、養育費は双方の経済力に応じて分担するものですから、子どもと一緒に暮らしている親の再婚や自分の再婚によって生じる環境の変化により、減額をお願いすることはおかしなことではありません。

ただ、減額をお願いする際には、「再婚したんだから養育費いらないよね」あるいは「新しい家庭ができたからもう養育費は支払えない」という話の持っていき方は絶対にしないように注意してください。

子どもと一緒に暮らしている親、そして、何より子ども自身は、間違いなくあなたのことを「離婚しても親である」と思っています。そういう意図でなくても、「もう自分は親ではない」というように聞こえてしまう伝え方をしてしまうと、話し合いが紛糾し、また、子どもを傷付けることにもなります。

あくまで、お互いの経済状態が変わることから、養育費の金額について少し見直しをしたい、という形で話を持っていった方が良いように思います。

◎話し合いのコツポイント
「離婚しても現である」というのをスタート地点に話し合いを。

<法律上のツボ>
●限られたバイの配分、という考え方
前の配偶者との間の子どもは自分の子どものですし、新しい配偶者との間の子どもや養子縁組をした子どもも、自分の子どもです。さらに言えば、新しい配偶者が無職の場合には、その配偶者を扶養する義務もあります。収入が変わらないのに、前の配偶者との間の子どもに、以前と同額の養育費を支払い続けていたら、新しい配偶者や新しい配偶者との間の子どもを扶養することができません。

2-6節で紹介した養育費算定表の金額は、これを算出するための元になっている数式があります。その数式は、簡単にいうと、収入から生活費を算出し、自分及び扶養しなければならない人たちの間で、算出した生活費を一定の割合で配分するという考え方で作られています。

例えば、養育費を支払う側の年収が400万円、養育費を受け取る側が無収入の場合、子1人の場合の養育費は月額4万円くらいになる可能性が高いですが、子2人の場合の養育費は合計で月額6万円(一人当たり月額3万円)くらいになる可能性が高いです。

子1人の場合の4万円の2倍である8万円となるわけではなく、また、自分も分母に入る=身を切ることになるため、子1人の場合の4万円を2人で分けて1人当たり2万円になるわけでもありません。

少し、ややこしくなりましたが、再婚などによって扶養すべき家族が増えた場合には、生活費をみんなで分け合うというルールに従い、前の配偶者との間の子どもに対する養育費については減額が認められる可能性が高いです。

また、養育費は、お互いの経済力に応じて分担すべきものですから、前の配偶者が再婚して経済的に安定した場合(さらに、子どもと前の配偶者の再婚相手が養子縁組し、再婚相手も扶養義務者になるケースは多いと思います)にも、養育費の減額が認められる可能性が高いです。

ただ、きちんと手続きを経ないまま勝手に減額をしたような場合には、いきなり強制執行をかけられる可能性があるので注意してください (2-10節参照)。

◎法律上のツボ ポイント
養育費は、足し算(人数)ではなく、割り算(パイの分配)で計算されます。

◎用語の解説
・養育費:親が支払わなくてはならない、子どもの生活費。親権者でなくなっても、親子関係はなくならない。詳細については、2-5節参照。
・養子縁組:法律上の親子関係を成立させるための手続。通常の養子縁組の場合、養子縁組に伴って実親と子どもの親子関係が消滅することはない。なお、法律上の地位は、実親と養親でほぼ変わらない。
・親権【親権者】:①子どものしつけや日常生活の世話 (監護教育)と②子どもの代わりに契約や財産の管理 (法定代理人)をする権限「その権限を持つ者】。詳細については、2-1節参照。
・扶養 扶養義務】:生活費を渡すなどの方法により、生活を援助すること【その法的な義務】。
・強制執行:調停等で決まった約束を相手が守らない場合に、国家権力が強制的に約束を守らせる手続の総称。例えば、差押えがこれにあたる。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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