『会社設立のポイント』

2-7-(2) 印鑑をつくろう


●個人の実印
印鑑には、認印、銀行印などいくつかの種類がありますが、決まった形があるわけではなく、用途によって使い分けます。

《実印
個人が市区町村に届け出て登録した印鑑を、特に「実印」と呼んでいます。実印は1人が1つしか登録することができないもので、届け出てある印鑑の証明書が市区町村から発行されます。これがいわゆる「印鑑証明書」です。
印鑑の登録をしていない人は、まず、市区町村の役所で印鑑の登録をしましょう。

《市区町村によって、大きさや決まりごとがある場合も
大きさは決まっている場合が多いので、事前に市区町村の役所に問いあわせましょう。
たとえば、東京都中央区の場合は、8mm 以上25mm 以下の大きさが必要とされ、ゴム印など変形しやすいものや外枠が著しく欠けたものは登録できません。

100円ショップで売られているような三文判でも実印の登録はできますが、スタンプ式の「シャチハタ」では登録できません。不正使用の問題があるので、保管は厳重にして、偽造されにくいように三文判を実印とするのは避けましょう。これを機会に永く使うことができる印鑑をつくることをお勧めします。

●印鑑証明書(個人) の取得のしかた
「印鑑登録申請書」に必要事項を記入して、印鑑を登録すると、「印鑑カード」が発行されます。印鑑証明書を取るには、「印鑑登録証明書交付申請書」に必要事項を記入して、印鑑カードを添えて申請します。印鑑カードがあれば、本人ではなくても印鑑証明書が取得できてしまうので、防犯上、印鑑カードと実印は別々に保管するようにします。
印鑑証明書は、定款の認証や登記の申請などの手続きをする日からさかのぼって3カ月以内に取得したものが必要です。公証役場で定款の認証を行うときと法務局で登記をするときに提出するので、発起人と取締役を兼ねる人は、2通取得しておきましょう。

●個人の印鑑証明書を取得するまでの流れ
①市区町村の役所で印鑑の実印登録
②印鑑カードの発行を申請
③印鑑カードを添えて、印鑑証明書を取得

●会社の実印
個人の実印と同様、会社も印鑑の届け出をして実印登録をします。会社の実印のことを「代表者印」ということもあります。実印の登録先は、個人の場合と異なり、市区町村の役所ではなく会社の本店所在地を管轄する法務局です。会社設立の登記を申請するときに、一緒に法務局に登録します。事前に登録をする必要はありませんが、登記のときに提出する書類に会社の実印を押さなければならないので、それまでに印鑑をつくっておきましょう。

会社の実印は一般的には丸型の印鑑で、二重丸のような形になっています。内側の円の中に「代表取締役印」や「代表取締役之印」の文字が彫ってあり、外側の円と内側の円の間に会社名が彫ってあるのが普通です。
会社の実印は、個人の実印と同様に本人(代表者)確認と本人の意思確認の意味を持ちます。登記の申請や契約書、株主総会議事録など、重要書類に押す大事な印鑑となります。

会社にも銀行印はありますが、1つの印鑑を実印と銀行印とを兼ねて使用することは避け、保管は厳重にしてください。会社の場合は、個人よりも大きな契約を行うことが多いので、実印を不正使用された場合の危険は大きなものです。業務形態にもよりますが、代表取締役以外の人が容易に使用できないよう、厳重な保管体制をつくっておくことをお勧めします。

<<会社の実印には、大きさや決まりごとがある
会社の実印の大きさには制限があり、辺の長さが1cmを超え、3cmの正方形に収まるものでなければいけません。また、印鑑は照合に適するものでなければいけないので、外枠が欠けていたり印影が不鮮明なものは、会社の実印には不向きです。これらの要件を満たすものであれば、丸型でなくても四角や三角の形の印鑑でも可能ですが、一般的には丸形の印鑑が用いられます。

また会社名が入っていることは要件ではないので、代表取締役の個人の印鑑を会社の実印として登録することもできます。しかし、混乱を避けるためにも、会社と個人の印鑑は別で作成し、会社名が入ったものを会社実印とすることをお勧めします。

≪会社の印鑑の作成方法
会社の印鑑の作成には、通常3日~1週間前後かかるので、会社の商号が決まったら早めに手配をしましょう。

●会社の印鑑証明書の取得のしかた
個人の実印登録と同様に、会社も印鑑の実印登録をすれば、「印鑑カード」が法務局から発行されます。個人のときと同様に、会社も印鑑カードがないと印鑑証明書が取得できないので、なくさないように大切に保管します。

印鑑カードは、会社設立の登記が終わってからでなければ発行されないので、印鑑証明書も会社設立の登記が終わってからでないと取得できません。

●会社の印鑑証明書を取得するまでの流れ
①会社設立登記の申請時に法務局に実印登録
②会社設立登記が終わったあとに、印鑑カードの交付を法務局に申請
③印鑑カードを提出のうえ、法務局で印鑑証明書を取得

●そのほかの会社の印鑑
会社の印鑑は実印のほか、次のような印鑑を作成しておきます。
ちなみに、「会社実印」、「銀行印」、「角印」は3点セットで「法人設立セット」としてセット販売されていたりします。登記のときは実印しか使いませんが、後々のことを考えてセットで買っておくと便利です。

<<銀行印
会社名義の銀行口座をつくる際や手形・小切手取引をするときに必要となる印鑑です。
一般的には、会社の実印と同じように丸型の印鑑で、内側の円に「銀行之印」という文字が彫ってあります。大きさに規定はありませんが、会社の実印と同じ大きさかひと回り小さいものがお勧めです。

《角印
会社の認印のようなもので、見積書・請求書・領収書に押したり、日常業務に使用します。大きさに規定はありませんが、一辺が2~3cmのものが多く使用されています。

≪ゴム印(住所印)
会社の住所、商号、代表取締役名、電話番号、FAX番号などが記載されている印鑑です。ゴム印があれば、書類に会社の住所などを手書きしなくてもよいので、持っていると便利です。
住所、商号、代表取締役名など、それぞれ分かれていて自由に組みあわせて使えるものがよいでしょう。「中央区銀座○-○-○」「(株)パールコンサルティング」などと住所や社名を省略せずに、下記の例のように登記されているとおりに作成すると、契約書などの重要書類にも使用できます。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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