『会社設立のポイント』

2-6-(1) 会社の本店は法律上の住所


●本店はどこに置いてもよい
会社の住所がある場所を会社法では「本店」といいます。会社の本店は登記事項であり、1つの会社につき1つの本店を定めなければなりません。
本店は日本国内であればよく、本店の所在場所と実際に事業活動をしている場所が一致している必要はありません。
たとえば、本店として代表取締役の個人の自宅住所を登記しておいて、別の場所で実際に事業を行うこともできます。
ただし、金融機関で会社の口座を開設する場合、本店の最寄りの支店でしか開設できないことがあります。また、管轄の税務署や法務局といった役所は、本店の所在地を基準として決まるので、本店を遠方の場所にすると、手続きに手間や時間がかかってしまいます。そう考えると、ビジネスの拠点となっている場所を本店として決めるのがよいでしょう。

●本店を決める際のポイント
~業態にあった立地にする~
本店の決め方として、大きく分けると次の3つがあります。

①個人の自宅を本店とする方法
②新たに借りた事務所を本店とする方法
③個人事業としての事務所がすでにある場合は、そこを本店とする方法

実際にどこで事業をするか決まっていない場合は、とりあえず個人の自宅を本店として登記をするのが手軽です。ただし、個人の自宅が賃貸物件の場合、注意点として、賃貸借契約で事務所としての使用を禁止していることがあるので、契約内容を確認しなくてはいけません。

会社設立の登記をしたあとに本店を変えることもできますが、その場合は新たに本店移転の登記費用がかかります。法務局の管轄が同じ管轄内への移転であれば3万円、異なる法務局の管轄への移転であれば6万円の登録免許税がかかります。

●レンタルオフィスやバーチャル事務所で起業
一般的には、いわゆる貸事務所などを借りて本店を置くのが普通ですが、近年、通常の建物賃貸借とは異なる、レンタルオフィスやバーチャル事務所の利用が増えています。こういったサービスを利用して、本店として登記することも可能ですが、貸主の同意は取ってください。

●定款作成時は最小行政区画まで決めれば OK
定款では、本店の所在地として、最小行政区画(例:東京都中央区)まで記載すればかまいません。最小行政区画までの記載であれば、同じ中央区の中で本店を移転しても、定款の変更手続きは不要です。最小行政区画が変更になる移転であれば(例:東京都中央区から東京都品川区へ移転)、定款の変更が必要になります。
○丁目○番○号まで特定して定款に記載することもできますが、その場合は、同じ町内で本店を移転した場合でも定款の変更手続きが必要となります。移転する際の手間を考えて、本書では、定款へは最小行政区画までの記載でとどめています。

●定款の記載例
「当会社は、本店を東京都中央区に置く。」
⇒ 同じ中央区内での移転なら定款の変更が不要
⇒ 品川区など、ほかの最小行政区画へ移転した場合は定款の変更が必要
「当会社は、本店を東京都中央区銀座○丁目○番○号に置く。」
⇒ 銀座〇丁目△番△号に移転した場合でも定款の変更が必要

●登記をするまでに住所を決める
本店住所は登記をしなければならない事項です。登記をする際には、最小行政区画では足りず、詳しい住所が必要です。
具体的には、○丁目○番○号までは必須です。ただし、ここで止めておいてもかまいませんし、さらに、「○○ビル××号」とビル名、部屋番号まで入れてもかまいません。ビル名や部屋番号が入っていたほうが明
確でよいのですが、部屋番号まで入れると、同じビル内で部屋を移ったときでも移転登記が必要となるので少々面倒です。

●登記の記載例
「東京都中央区銀座○丁目○番○号」(ビル名以下を省略)
「東京都中央区銀座○丁目○番○-○○○(部屋番号)号」(ビル名を省略)
「東京都中央区銀座○丁目○番○号パールビル○○○号室」(部屋番号まですべて記載)
「東京都中央区銀座○丁目○番○号パールビル」(部屋番号を省略)
⇒ 101 号室から202号室に移転しても登記は不要。
※住所は「○番地○」といった記載もあり、地域によって異なるので、市区町村役場に確認しましょう。

●まとめ
・本店は会社の法律上の住所
・本店の住所は登記が必要なので移転すると登記費用がかかる
・本店の具体的な住所は登記をするときまでに決めればよい
・本店はビジネスの拠点となっている場所に置くのがよい


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

 お問い合わせ
contents
↓応援ポチ感謝です↓
にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
様々な法律知識