『会社設立のポイント』

2-5-(2) 金銭以外で出資する方法


●現物を出資することもできる
発起人は資本金として現金を出資しますが(具体的には銀行に振込または入金します)、現金以外で出資することも可能です。たとえば、自己所有の不動産、有価証券、機械類、パソコンや車などを出資することができます。

金銭以外の財産を出資に充てることを「現物出資」といいます。現金で出資をしたほうがシンプルでわかりやすく、手間もかかりませんが、現物出資には手持ちの資産を利用できるというメリットがあります。

たとえば、現金を50万円しか用意できなくても、自分が持っている50万円相当のパソコンや機械類を現物出資として会社に提供することで、残り50万円を埋めて、資本金を100万円にすることができます。

●現物出資をする物の評価額は慎重に決めよう
現物出資をする際に問題なのは、出資する物の価額をどう評価するかということです。出資する現物の価額を実際よりも過大に評価してしまうと、端的に言って「多額の資産があるように見えるのに、実は中身がすっからかん」という状態になります。こうした場合は、発起人と設立時取締役は、不足している価額を連帯して支払う責任を負うことになります。根拠なく評価額を決めるのは避け、特に中古の機械類やパソコン、車などは価額を換算するのが難しいので、税理士などの専門家に相談しながら、何をいくらと評価して出資するのか決めていきましょう。

現物出資の客観的な評価を行うために、裁判所で選任された検査役(弁護士が選ばれることが多い)の調査が必要とされています。しかし、裁判所の検査役の選任手続きを経て、検査役に調査してもらうにはそれなりの費用と日数がかかってしまうため、負担が大きくなります。出資する金額が少額の場合や客観性のある証明書がある場合など、一定の要件に該当するようであれば検査役の調査は不要とされているため、検査役の選任手続きを経ることなく現物出資を行うことができます。現物出資は、検査役の調査が不要な範囲にとどめておくことが無難です。

○ 検査役の調査が不要な現物出資
・現物出資財産額が500万円以下の場合
・市場価格のある有価証券であり、定款に定めた価額が市場価格を超えない場合
・定款に記載された価額が相当である旨を弁護士や税理士などの専門家から証明を受けた場合(不動産は不動産鑑定士の鑑定評価も必要)
※専門家への報酬が別途掛かります。信頼関係がない証明書を出してくれないこともあるので、発行可能かどうかも含めて相談しましょう。

●名義変更の手続きが必要な現物出資
機械類などの動産の現物出資は、会社に現物の引き渡しをすれば出資をしたことになりますが、不動産、自動車、有価証券などは名義変更の手続きが必要となります。名義変更の手続きは、発起人全員の同意があれば、会社設立の登記が終わったあとに行ってもかまいません。

会社の「登記事項証明書」(登記されている事項の証明書)が必要な名義変更手続きもあるので、そのような場合は会社設立登記が終わってからでないとできないことになります。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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