『会社設立のポイント』

2-4-(5) 複数のメンバーで設立する場合の注意点と任期


●友人同士で会社を設立することのリスク
仲のよい友人同士や仲間うちで会社を設立するということは、よくある話です。複数人での起業は、相互の強みを生かしながら、負担を分担して会社を運営していくことができるというメリットがあります。しかし、共同経営には幾つかの難しい点があります。経営を続けていく中で、互いの方針や理念が異なっていく可能性があること、場合によっては「袂を分かつ」リスクもあるということを、はじめから念頭に置いておかなければなりません。

《出資比率による注意点
よく問題になるのが、友人2人で会社を設立し、互いに半分ずつ資本金を出しあった(持ち株比率50パーセントずつ)けれど、しばらくして経営についての意見があわなくなった場合です。株式会社では、資本金を出す割合、つまり持ち株比率が多いほど権限が強くなります。

たとえば、持ち株比率が3分の2以上であれば、会社内のほぼすべての事項を決定することができます。しかし、持ち株が50パーセントずつだと何も決めることができなくなってしまいます。なぜなら、役員の選任、解任、報酬の決定などを行うためには、過半数の同意が必要だからです。50パーセントずつだと双方とも過半数を押さえていないため、どちらかが折れないかぎり何も決定できず、経営がこう着してしまうリスクがあります。最低限、どちらかが51%所有している状態にしましょう。

≪任期の問題点
前項でお話したとおり、役員を変更する場合の、法務局への登記申請費用と手間を考えると、役員の任期は長いほうがよいということになるのですが、共同経営の場合には、互いの意見があわなくなることもあるので、任期は短くしておくことをお勧めします。

任期の途中でも、株主総会の決議で(取締役であるなら出席株主の株式数の過半数をもって)、意見のあわない取締役を解任することができます。しかし、正当な理由なく解任すると、任期の残りの期間の役員報酬などについて損害賠償を請求される可能性が出てきます。残念ながら、意見に相違があることが「正当な理由」となることはあまりありません。もろもろ踏まえて考えると、2年程度がお勧めです(なお法律上も、原則2年とされています)。

●役員になるということは責任を背負うこと
友人が起業するにあたり、役員になることを頼まれること、あるいは名前だけ貸してくれと頼まれることがあるかもしれません。しかし、軽い気持ちで役員に就任することはとても危険です。
役員に就任すると、役員としての法的責任が生じます。
取締役としての主な責任は、会社の利益に忠実な立場に立って職務を行うこと(忠実義務)、善良な管理者としての注意義務(つまり、取締役という地位にある者として適切な注意)を払って職務を行うことです。
また、役員としての責任は、単に会社に対する責任にとどまりません。さらに、株主に対する責任、従業員に対する責任、取引先など第三者に対する関係でも責任を問われ、会社の行った行為について、役員に就任したあなたにも損害賠償責任が認められ、お金を支払わなければならなくなることもあります。役員に就任するときは、起業する仲間との信頼関係、これまでの付きあいの程度や、自分がどのくらい役員としてその会社の業務にかかわれるのかを、慎重に判断する必要があります。

●まとめ
・複数人で会社をつくるときは、少なくとも1人が持株比率の過半数を押さえるようにする(例51%)
・複数人の会社なら取締役の任期は2年程度にしておく
・友人の会社の役員になる前に、その関係性、方向性を再度考える


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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