『会社設立のポイント』

2-4-(3)役員を決めよう


●取締役は必ず1名以上置く
株式会社の必要機関として、取締役が1名以上必要となります。ただし、取締役会を設置する場合は、3名以上必要となります。

取締役は会社の経営を行い、会社を実際に動かしていく役割を担います。会社の業績が上がるのも下がるのも取締役の経営手腕によります。

会社設立時は、発起人が取締役などの役員を選任します。つまり、お金を出した人に、経営を任せる役員を選ぶ権利があります。誰が発起人になるか決まったら、速やかに役員を決めましょう。中小企業は「発起人=役員」のことが多く、この場合には自分でお金を出して経営も行っていくことになります。

会社設立後は、株主総会で、株主が取締役などの役員を選任します。
※ 機関:意思を決定する者または組織のこと。
※ 選任:選んでその任務につかせること。

●取締役になれる人、なれない人
取締役には発起人と違って制限があり、次の要件に該当する人は取締役になることができません。
(取締役になれない人)
・法人(株式会社含む)
・「成年後見人」または「被保佐人」。認知症や精神障害などにより、財産管理において一定の制限を受けている人。
・会社法などの法律に違反したり、金得う商品取引法などの法律に定められた特定の罪を犯して、刑の執行を終えるか、もしくはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない人
・上記以外の法令の規定に違反し、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終えていない人、またはその執行を受けることがなくなるまでの人(執行猶予中の人は除く)

●未成年者については注意が必要
未成年者は発起人のときと同様、法定代理人の同意があれば取締役になることができます。ただし、物事を判断していく意思能力(自分の行為の結果を認識・判断できる能力)は必要です。

●外国人も取締役になることができる
外国人も取締役になることができるので、取締役全員が外国人でも問題ありません。ただし日本での商取引を考えると、少なくとも1名は日本国内に住所がある人にしておくと便利です。なお、日本国内に住所がある外国人であれば、市区町村で実印の登録をすることができるので、印鑑証明書を取ることができます。外国に居住している外国人の場合は、印鑑証明書を取得できないので、書類にはサインをして、印鑑証明書の代わりにその国の官庁や役所で、サインについての証明書を出してもらったり、公証人に「宣誓供述書」を作成してもらったりしなければなりません。

●自己破産した人でも取締役になることができる
小さな会社の場合、自己破産をしたら取締役になれないとなると、すぐに代わりの人を見つけることが難しく、その会社の経営が立ち行かなくなる恐れがあるので、自己破産をした人でも取締役になることができ
ます。
ただし、取締役になっている間に自己破産をした場合は、民法の規定により会社と取締役の「委任契約」が終了してしまうので、取締役の地位を失うことになります。そのため、その会社が引き続き同じ取締役に職務を行ってほしい場合には、再度取締役に選任する必要があります。

●設立時の取締役の仕事
設立時の取締役の仕事は、会社設立前のため、実際に経営をするわけではないのでかぎられています。主な仕事としては次の2つです。
<<①出資などに関する調査
設立時の取締役は、選任されたあと遅滞なく対の4つの調査をしなければなりません。
①現物出資財産について定款に記載または記録された金額が妥当かどうか(検査役の調査を要するもの、②については除きます)
②弁護士や税理士などによる現物出資財産に関する証明が妥当かどうか
③出資がきちんと終わったかどうか
④上記の事項のほか、株式会社の設立の手続きが法令または定款に違反していないかどうか

<<②設立時の代表取締役の選任
定款で設立時の代表取締役を定めていないときは、設立時の代表取締役を取締役の中から選びます。
本書では、定款で定めるようにしています。

●取締役の選び方
取締役は、会社経営の責任者として会社の業務を決定し、実際に行っていきます。今後、会社が伸びるのも潰れるのも取締役次第なので、慎重に人選をしましょう。

取締役は発起人の中からでなく、外部の人を選ぶことも可能です。経営に関して豊富な知識と経験を持つプロを取締役に招き入れることは、会社にとって大いにメリットになりますが、その取締役が発起人(株主)の意向どおりに経営を進めてくれるとはかぎりません。

株主と取締役が同じ人であれば、株主と役員との間に意見の食い違いは生じません。個人が出資する1人会社では、株主兼代表取締役として好きなように経営をすることができます。

これに対し、株主と取締役が異なる人の場合は、株主はお金を出すだけで経営には直接タッチせず、経営は株主が選んだ取締役を信用して任せることになります。株主の意見が経営に反映されるとはかぎらないので、株主のうちの数名を取締役に選んでおきましょう。

●代表取締役が会社を代表する
代表取締役とは、会社を代表する権限を持った取締役のことです。取締役会を設置していない会社では、基本的には取締役全員に代表権があります。取締役が複数名いる場合において、特定の取締役のみに代表権を持たせたい場合は、株主総会で選ぶか、定款の定めによって取締役の互選(互いに選挙して選ぶこと)で、代表取締役を決めることができます。取締役が1名なら、自動的にその人が代表取締役になります。

なお、代表取締役を2名以上置くこともできますが、お互いの意見があわず運営に支障をきたすことがあるので、1名にするのが望ましいでしょう。

一方、取締役会を設置している会社では、取締役会で取締役の中から代表取締役になる人を選ばなければなりません。設立のときは、定款内で代表取締役を決めておくことができるので、本書ではそのようにしています。

●取締役会を設置するかどうかは任意
取締役会とは、取締役3名以上からなる会社の業務執行の意思決定機関です。取締役会を設置すると、会社の業務については、取締役会という会議で決定(業務執行の決定)し、それを代表取締役または特に業務執行の委任を受けた取締役(業務執行取締役)が実行していくということになります。通常は、3名以上の取締役が取締役会を構成し、そのうち1名が代表取締役に選定されて業務を執行するというスタイルになります。

●取締役会を置くメリット
①機動性がある
⇒ 会社法で定められている事項については、株主総会で決議することなく取締役会だけで決めて、迅速に対応することができます。会社の規模に比べて株主の数が多い場合(家族や親族に株を持ってもらっているケース)には、特にメリットになります。
②対外的信用度がある
⇒相応の規模の会社として、一般的に対外的な信用度は増します。
③牽制機能がある
⇒特定の取締役が独断で経営をしてしまうことを防止できます。

●取締役会を置くデメリット
①役員を引き受けてくれる一定の人員を確保しなければならない
⇒ 少なくとも、取締役3名+監査役1名の計4名が必要です。
⇒ 役員が定員数の3名を割る場合、1名でも欠けたら補充しなければなりません。
② 役員報酬の支払いなど、コストがかかる
③ 株主の権限が取締役会を置いていない会社に比べると弱い
④ 取締役会を実質的に機能させるのは難しい
⇒ 人数あわせのために名ばかりの取締役を集めていると、有効な会議が開かれない。
⑤ 株主総会の招集に関する手続きなど、簡略化できないものがある
⑥ 取締役会議事録の作成、保管義務がある
⑦ 取締役会を定期的に開催しなければならない

●取締役会を設置しなければ監査役は不要
監査役は、取締役の業務を監督し、会計の監査をするのが主な役割です。監査役を置くかどうかは会社の自由ですが、取締役会を設置する場合は監査役も置かなければなりません(会計参与を置く場合を除く)。
身内だけで会社経営をする場合は、取締役会を設置しないことが多いですし、監査役の監督機能が発揮されることが期待できないので、あえて監査役を置く必要はありません。

 


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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