『会社設立のポイント』

2-3(1) 会社の名称の決め方


会社の名称(会社法では「商号」といいます)は、個人でいうところの姓名にあたり、会社の顔ともいうべき大事な決定事項です。どのような「商号」にするか、もしかしたら一番悩むところかもしれません。

 

商号は会社をつくる人のこだわりや思いが込もっているだけに、最後まで迷う人が多くいます。名刺を渡して挨拶するところを想像してみると、イメージが湧きやすいでしょう。「株式会社○○の社長の○○です」と声に出して言ってみるのもいいかもしれません。

参考までに、商号を決める際のパターンをいくつか紹介します。それぞれにメリットがあるので、目的にあった商号を考えましょう。

 

①個人事業で活動していた名称をそのまま引き継ぐ
これまで個人で事業をしていた場合は、個人事業時代に使用していた名称をそのまま引き継いでもかまいませんし、まったく別の商号にしてもかまいません。
たとえば、個人事業時代に「パール商店」と名乗っていても、株式会社化するにあたって「株式会社すずきコンサルティング」という商号にしても問題ありません。しかし、個人事業時代に築いた取引先や顧客などに浸透している名称は、株式会社化にあたって引き継いだほうが混乱が少なくてすみます。
逆に認知度が低かったり、周囲での評判がよくなかった場合には、心機一転、思い切ってまったく別の商号にするのもいいかもしれません。
(例)パール商店 ⇒ パール株式会社
※「パール商店」という名称で活動していた個人事業者が、株式会社化にともない、名称を引き継いだ。

 

②個人の姓名をつける
自分のキャラクターをアピールしていきたい場合は、創業者や代表者の姓名を商号に入れることを考えます。読み方の難しい名字はひらがなにして覚えてもらったり、姓名の一部や縁起のよい漢字1文字を入れるといった工夫をしても面白いでしょう。ただし、あまり一般的な名字の場合は、ほかにも同じ商号の会社が存在する場合があるので、印象が薄くなりがちです。

またこのパターンは、将来的に代表者が名字の違う人に交代する場合などにどうするかという問題が生じます。

例)株式会社わたなべコンサルティング
※「渡邊」という名字を読みやすいひらがなにした。
例)株式会社凛建築設計事務所
※ 社長の名前である「凜子」の1文字をとって社名にした。

 

③業種、事業内容を入れる
テレビコマーシャルなどをやっている大企業に比べて、中小企業の場合、商号を見ただけでは何の事業をしている会社かわからないことがあります。こういった場合、商号に業種や事業内容を入れておくと、名刺を渡したときに説明をしなくても、商号を見ただけで何の会社かわかってもらえるというメリットがあります。初対面の際に商談がスムーズに進みやすいですし、自己紹介の時間を節約することにもなります。
また、預金口座を開設する際にも、「○○コーポレーション」というよりも、「○○工務店」のように、業種がわかりやすい社名にしておいたほうが、口座開設時の銀行での手続きがよりスムーズになります。
例) 株式会社パールコンサルティング
株式会社パール自動車販売

 

④地名を入れる
地域に密着して事業を展開していく場合は、地名を商号に入れると顧客に伝わりやすくなります。インターネットでの検索にも引っかかりやすくなります。

たとえば、銀座で物件を探している人に対して、「株式会社パール不動産」と「株式会社銀座不動産」だったら、「株式会社銀座不動産」のほうが銀座の物件に強い印象を与えることができます。また、会社の場所がわかりやすくなるという利点もあります。商号に「東京」とあるのに、沖繩県に会社があるとは連想しづらいでしょう。

逆に地域を特定したくないようであれば、「株式会社○○ジャパン」や「株式会社ワールド○○」のように広がりを持たせた言葉を商号に入れるのも一案です。ただし、最初からあまり大風呂敷を広げて規模に見あわない名称にすると、かえって信用されないということもあるのでよく考えましょう。

(例)株式会社銀座総合コンサルティング

 

⑤自分の好きな言葉を外国語にしたもの
創業者の好きな言葉や業界用語を、英語やフランス語といった外国語にしたものを商号として使用するパターンです。デザイン系や美容系の業種に多く、お洒落で洗練された印象を与えます。珍しい商号だと初対面の人に興味を持ってもらえるので、商号に込められた思いを説明するうちに話が盛り上がるかもしれません。一方で、商号の意味がわからなかったり、読めなかったり、何をしている会社か伝わりづらいというデメリットもあります。
例 )株式会社ドリーム
株式会社BIJOU
※BIJOU:フランス語で「宝石」という意味。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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