『離婚のツボとコツ』

2-14 別れた相手から一緒に面会交流しようと言われたのですが


<結婚していたときのように>
夫の不貞が原因で離婚しました。今でも当時のことにわだかまりがあり、思い出すと嫌な気持ちになることがあります。とはいえ、子どもの父母同士としては上手く付き合えていて、現在に至るまで面会交流は順調です。

先日、面会交流に送り出す際に、子どもが、「お母さんは来ないの?」と言っていたのですが、今回、面会交流の日程調整が終わったところで、元夫から「この日は君も一緒に来ないか?」と言われました。

<話し合いのコツ>
●子どもにとって良い面も
離婚をしても、子どもの親であることは変わりありません。夫婦としての関係は終わっても、子どもを協力して育てていく父母としての関係は続いていきます。

子どもも、以前のように、両親と一緒に出かけたい、両親と一緒にいたい、と思うことはあるはずです。学校の運動会や七五三などのイベントの際は、特にそう思うかもしれません。また、父母が一緒に面会交流することによって、子どもについての情報共有も円滑になりますし、同じイベントを2人で見ることによって、男親と女親の視点の違いを改めて相手に意識してもらうことができるなど、子どもの養育について良い効果が生じる場合もあります。とはいえ、無理をすべきではありません。

このように書くと、そもそも離婚したことについて自責の念を感じられる方や、離婚を躊躇される方がいるかもしれませんが、今後も目の前の相手と婚姻生活を送っていくことができるかという問題と、子どもが一方の親と離れて暮らすことになる問題は、やはり切り離して考えるべきだと思います。

何より子どもは敏感ですから、両親が自分のために無理をして婚姻生活を続ける姿を見て、心を痛めていたりします。本当に小さな子どもに「無理しないで。僕は離婚してもいいよ」と言われて、相談にいらっしゃる方もいます。

他方で、離れて暮らしている親は、離婚した相手と一緒に面会交流したいという理由が、子どものための理由であるなら、相手にきちんとそれを伝えて話し合ってみてください。

とは言え、何らかの行き違いや不満があって、夫婦としての関係が終わりに至ったはずです。現在、父母としてはうまくやっていけているけれど、やはり一緒の時間を過ごすのは苦痛、という気持ちを相手が持っていたとしても、おかしくはありません。相手のそのような気持ちは、きちんと尊重していただければと思います。

仮に子どものためであったとしても、無理強いすると、究極的には現在の良好な父母としての関係にまで悪影響が出る場合があります。

◎話し合いのコツポイント
父母としての関係は良好でも、理由があって別れた者同士だということを忘れずに。

<法律上のツボ>
●面会交流は、あくまで親が子どもに会うもの
面会交流の送迎に際して、子どもと一緒に暮らしている親が子どもの送迎をすることが多いため、例えば、DVがあったりストーカー被害があったりするなど、別れた配偶者に対して執着があるケースにおいて、面会交流の送迎を利用して相手があなたと接触を図ろうとしてくることがあります。

そのようなケースでは、面会交流の送迎役として別れた配偶者を指定しようとしたり、面会交流に関する条項を定めるに当たって送迎役を別れた配偶者に限定しようとしたりします。

しかし、面会交流は、あくまで親が子どもに会うものです。送迎役を指定することはできません。あなたが嫌な場合には、送迎役を断ることができます。このようなケースでは、そもそも相手の面会交流そのものが認められない場合もあります。仮に認められたとしても、送迎役を別れた配偶者に指定できないことがわかると、相手が面会交流について興味を失ったりすることもあります。

あなたが送迎役を断ることができるといっても、子どもが小さいうちは、送迎役は必要不可欠です。一般には、あなたの親、つまり子どもにとっての祖父母にお願いすることが多いのですが、悩ましいのは、そのような援助を得ることができない場合です。依頼中の弁護士がいる場合には、その弁護士に頼むということが考えられますし、あるいは、面会交流の支援を行っている団体などを利用することも考えられます。

ただ、いずれも費用がかかることがありますので、その際の費用をどちらが負担するのか、ということも考えておく必要があります。

◎法律上のツボポイント
面会交流の送迎に際して、相手に会いたくない場合には、弁護士や支援団体が援助してくれます。

【用語の解説】
・面会交流:離婚や別居により子どもと離れて暮らしている親が、子どもと会うこと。詳細については、2-11節参照。
・配偶者間暴力(DV): ドメスティック・バイオレンス(domestic violence) 。一般的には、婚姻関係や内縁関係のある相手に対して行使される暴力のことであるが、最近では、婚姻関係や内縁関係のある相手に限らず、交際相手に対する暴力も含む概念として理解されるようになってきている。また、暴力の内容についても、物理的な暴力に限られず、心理的な暴力や経済的な暴力も含む概念として理解されるようになってきている。なお、上記は、あくまでも社会的な認識の解説であり、必ずしも「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(いわゆるDV保護法)」の定義とは一致しない。

【コラム】おじいちゃんやおばあちゃんが面会交流を求めることはできるのか?
面会交流は、あくまでも親が子どもに会うものです。原則として祖父母は、面会交流を求めることができません。

ただ、例外的に、祖父母が事実上の親代わりとして関わっており、子もまるで祖父母が直接の親であるかのように馴染んでいたケースでは、面会交流を求めることが認められています。

とはいえ、原則として祖父母は面会交流を求めることができないというのは、あくまでも法律の話です。親同士の話し合いによって、祖父母に面会交流してもらうことは一向に問題ありませんし、むしろ、子どもにとって良い影響があることだと思います。

ケースによっては、離れて暮らしている親だけだと不安だから、面会交流の時には離れて暮らしている親の両親も一緒に、というお願いがあるケースもあります。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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