『相続実務のツボとコツ』

1-8 遺産相続について


<相続人と相続分はどのように決まるの?>
民法は、被相続人の子、直系尊属(前の世代に属する血族)、兄弟姉妹及び配偶者を、法定相続人としています。胎児についても、相続についてはすでに生まれたものとみなされるため、法定相続人となります。

相続人の範囲に含まれるこれらの人の中でも、相続人になる順位が決まっており、例えば、直系尊属や兄弟姉妹は、子がいる場合には、遺産を相続できません。相続人になる順位は以下のとおりです。

まず、配偶者が生きている場合、配偶者は常に相続人になります。なお、相続人になるのは婚姻関係にある配偶者です。事実婚状態のパートナーは、相続人とはなりません。

次に、子、直系尊属、兄弟姉妹の間の相続順位ですが、もっとも相続順位が高いのが子です。被相続人に配偶者と子がいる場合は、両名が相続人となり、配偶者がおらず子がいる場合には、子のみが相続人となります。

いずれの場合においても、仮に被相続人に直系尊属や兄弟姉妹がいても、相続人とはなりません。

また、相続の時点で子が亡くなっている場合でも、その子、つまり被相続人の孫がいる場合、孫が相続人となります。このように、卑属(後の世代に属する血族)が代わりに相続することを代襲相続と呼び、孫が亡くなっている場合はひ孫が、ひ孫がしくなっていている場合は玄孫(やしゃご)が相続することになります。

さらに、子等の直系卑属がいない場合は、直系尊属が相続人となります。被相続人に配偶者と親がいて、子がいない場合には、配偶者と親が相続人になります。そして、被相続人に配偶者と子がおらず、親のみがいる場合には、親のみが相続人になります。

また、被相続人の親が既に亡くなっている場合でも、その親、つまり被相続の祖父母がいる場合には、この祖父母が相続人となります。祖父母が亡くなっている場合でも、さらに上の世代が生きていれば、上の世代に順に相続権が移ることになります。

最後に、被相続人に子も直系尊属もいない場合は、兄弟姉妹が相続人となります。被相続人に配偶者と兄弟姉妹がいる場合は両名が相続人となります。配偶者、子、直系尊属がおらず、兄弟姉妹のみいる場合は、兄弟姉妹のみが相続人となります。また、兄弟姉妹についても代襲相続の規定が適用され、兄弟姉妹が既に亡くなっている場合でも、その子、つまり甥や姪がいれば、甥や姪が相続人になります。ただし、兄弟姉妹では、代襲相続は一世代限りしか適用されません。つまり、甥や姪の子は相続人とはなりません。

<相続放棄、相続欠格、相続人廃除って?>
相続放棄をした者並びに相続欠格及び相続人廃除の対象者は、相続人とはならない点には留意が必要です。相続欠格とは、法律上相続人としての資格を欠くことで、遺言書を偽造した者等がこれに当たります。また、相続人廃除とは、被相続人が一定の手続によって、その相続人の相続権を失わせることです。被相続人が虐待を受けていた場合等は、相続人廃除が認められることになります。

<遺産分割の手続きはどのように進むの?>
そもそも遺産分割とは、被相続人の遺言がない場合に、相続人が相続財産を分けて承継することをいいます。相続人と相続分は上記のとおり決まりますが、相続人間で話し合いがまとまらない場合、最終的には、家庭裁判所の審判において、裁判所が当な分割方法を決定することになります。

通常、遺産分割に当たって、まず、相続人間で誰がどの相続財産をどのような割合で取得するかについて協議を行います。これを遺産分割協議といいます。

遺産分割協議において、誰がどの財産を相続するか、どのような割合で相続するかといった点につき、相続人全員の同意があれば、その内容を自由に決めることができます。合意ができれば、遺産分割協議で決められた結果について、遺産分割協議書を作成し、遺産分割を実現することになります。

遺産分割協議がまとまらない場合、通常は調停手続きに進みます。調停は、家庭裁判所の調停委員会に間に入ってもらい、当事者間での合意の形成を目指す手続きです。調停も不調に終わった場合は、家庭裁判所による審判を求めることになります。

遺産分割審判に不服がある場合は、高等裁判所に不服を申し立てることができます。このように、遺産分割の確定までに段階的な手続きが設けられており、確定するまでに何年もかかることは少なくありません。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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