『離婚のツボとコツ』

1-1 性格の不一致で離婚できますか?


<結婚前はこんな人だとは思わなかった!>
付き合っている時は全然わからなかったけれど、結婚して夫婦生活を始めてみたら、もう、ウンザリ! 子守じゃないんだから!

・洗濯は3日に1度!
・掃除はしない!(自宅に呼ぶ時だけしてたのね!)
・夕飯の連絡もなく飲みに行っちゃう!
・後輩には気前がいいのに、私が服を買うと文句ばかり!
・洗濯物の干し方も、こうするとシワが少ないとか知ったかぶりの話ばかり!

こんな夫婦生活なのですが、離婚できますか?

<話し合いのコツ>
●結婚は妥協?
見た目とか年収とか、そういった条件の話ではありません。

「性格の不一致」を理由とする離婚は、大きな価値観の違い等を理由とするものでないと(例えば度を超した宗教活動)、なかなか認められません。冒頭の、赤だしと白だしのような話では、まずムリでしょう。

同じ日本人同士であっても、生活習慣は各家庭によって大きく異なり、しかも、みんな自分の家庭のことしか知りません。例えば、自分は毎日バスタオルを洗濯するのが当然だと思っていても、3日に1回バスタオルを洗濯するのが当然の家庭もあります。

一つ一つは小さなことでも、そういったことの積み重ねが、大きなストレスを生みがちです。しかし、生活習慣の違いは、生活を共にしてみて初めて気がつくことがほとんどです。

日本人同士の結婚であっても、外国の人と結婚したような気持ちで、きちんと自分の考え方を伝えたり、妥協をしたりする必要があります。

<本当に性格の不一致なのか?>
日常的に配偶者から暴言や暴力を受けていると、自己評価が低下します。結果として、他の家庭と比べても本当にきちんと仕事や家事をされている方が、自分の至らなさを思い悩むというケースは少なくありません。そして、自分が至らないと思い込んでいるため、配偶者の暴言・暴力などをごくごく控えめに、「性格の不一致」と表現する方もいらっしゃいます。

そのため、自分が「性格の不一致」と表現しているものが、実際には「性格の不一致」程度の問題ではない場合もあります。自分では、自分の家庭のことしかわかりません。他の家庭のことを知っている人、例えば、信頼できる友人や、場合によっては弁護士に相談し、第三者の意見を聞いてみることも大切です。

◎話し合いのコツポイント
とりあえず、他の家庭の話も聞いてみましょう。
それでも、我慢できないなら、その気持ちも大切にしてください。

<法律上のツボ>
●離婚できる場合とは?
離婚は、両者で合意さえできれば、特に理由がなくても成立させることができます。
しかし、離婚したくないと言う相手と離婚するには、裁判所における調停という話し合いの手続きを経て、訴訟を起こす必要があります。そして、訴訟において離婚が認められるためには、以下のいずれかの事由(これらを離婚事由といいます)が必要になります。

(1) 配偶者に不貞な行為があったとき(いわゆる不倫です)
(2) 配偶者から悪意で遺棄されたとき
(3) 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
(4) 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
(5) その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

ただし、法律には、離婚事由があっても、「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる」という規定があります。

このように、裁判で強制的に離婚することができる場合というのはかなり限られています。

<性格の不一致による離婚>
「性格の不一致」は、上記(5) 「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたるかどうかという形で判断されることがほとんどです。しかし、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められるためのハードルはかなり高いものです。冒頭のケースのような性格の不一致では、まず認められることはないと思います。

もちろん、「性格の不一致」だけではなく、別居期間が存在する場合には、別居を理由とする離婚が認められるようになります。

また、離婚訴訟で離婚を認めないという判決が出た場合でも、その後に改めて話し合いを行い、やはりやり直せない、ということで、相手に有利な条件で離婚に応じてもらえる場合もあります。

◎法律上のツボポイント
まずは自分がどうしたいのかだけを良く考えてみてください。その上で戦略を立てましょう。

【条文】
民法770条(裁判上の離婚)
1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1 配偶者に不貞な行為があったとき。
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

<用語の解説>
・調停【調停調書】:裁判所における、非公開の話し合いの手続「その話し合いの結果が記載された公的な書類)。原則としてお互いに顔を合わせることはなく、守秘義務を負う調停委員が間に入り、話し合いを進めていく。詳細については、4-3節参照。
・離婚事由:裁判で離婚が認められるために必要とされる事実。民法770条に定めがある。詳細については、1-1 節参照。
・悪意の遺棄:民法770条に定められている離婚事由のひとつ。例えば、生活費を渡さなかったり、正当な理由なく別居したり、置き去りにしたりすること。

【コラム】結婚したら変わってくれると思っていました
結婚したら、きちんと仕事をしてくれるんじゃないかと思っていた、家事をしてくれるようになるんじゃないかと思っていた、そういった話をよくうかがいます。
私の経験上、結婚して変わる方は、まずいらっしゃらないように思います(もちろん、私のところに相談にいらっしゃる方々は、離婚を意識されている方ばかりだからなのかもしれませんが)。
一つ考えられるのは、結婚したら変わってくれるんじゃないか、きちんとやってくれるようになるんじゃないか、と思っていた部分は、裏を返せば、交際段階では、全てあなたが我慢したり、負担を肩代わりしてきた部分です。そうであるならば、相手は、その部分について、今後もあなたが我慢や負担をし続けてくれることを期待して、結婚したのかもしれません。
交際段階でお願いしてもやってくれなかったことは、結婚しても、まずやってくれることはないと思います。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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