契約書作成マニュアル

(4)契約書交渉の基本スタンス


契約交渉の基本スタンスおよび一般的な進め方は以下の通りです。

ステップ1:契約の全体像を確認する。
・本社は乙か?甲か?取引内容はどこに書いてあるか?等、契約書全体を確認し、契約書にて取引したい内容が反映されているかどうか、契約書に必要な条項が盛り込まれているかどうか等を確認します。
※通常、契約書案は、契約書案を作成した側に有利な内容にドラフトされているということを念頭にご確認ください。(取引によっては、当方が契約書のドラフトを作成することも考えられます。)

ステップ2:当方の交渉上の優先順位を明確化する。
・契約書案の各条項につき、以下の4つに分加し、本社にとっての契約書交法上の優先順位を明確にします。各条項の内容についての解説は3.契約条項解説をご確認ください。

(1)譲歩不可(一この場合、そのままの内容では契約できない可能性が高くなります)
(2)譲歩不可ではないものの、当方にとってリスクが大きくなりうる条項
(3)譲歩可能な条項
(4)受入れに問題なし

ステップ3:相手方の交渉上の優先順位を想定する。
・相手方が契約交渉において何を重要と考えているかを想定し、予め本社側の動き方を想定しておくと、契約書交渉がスムーズになります。相手方の意図の想定に際しては、以下の4つの観点を参考にご検討ください。

(1)相手方の属性、相手方との従前のコミュニケーション(相手方が各種業法の規制等に服している相手かどうか、従前のやりとりの中で相手方からどのような意向が示され
ていたか等)
(2)相手方との力関係(既存取引の有無・内容等)
(3)同じ相手方と本社との間の過去の契約関係
(4)相手方の交渉担当者が誰か(ビジネス担当/法務を含む管理部門責任者が出てきているか/弁護士か等)

ステップ4:ステップ2・3を踏まえ、全体として有効と思われるアプローチを選択する。
(1) 一定の交渉・妥結が可能と見込まれる場合は、契約書の文言の調整を行います。
契約書の文言を詰める過程は、振り子の揺れる様子をイメージするとわかりやすいです。当初は、相手方の案(考え方)と本社の案(考え方)が示離している場合、相手方の案に対する本社のカウンター案として本社に一方的に有利な内容を提示しても妥結することはほとんどありません。このような場合、最終的に落ち着くのは大方が「当初の相手方の案と本社の第一次カウンター案の中間的な内容で固まる」「当該条項については本社の第一次カウンター案を呑んでもらい、本社として妥協できる他の条項では一定歩み寄る」といった形になることが多いです。契約書の文言を相手方と詰めていく過程は「ドキュメンテーション」と呼ばれますが、ドキュメンテーションの過程では、このことを意識した交渉を行っていきます。

具体的な修正案の検討にあたっては、以下のような対応が考えられます。
> 相手方の案への対応の仕方
① 押し戻す:相手方の案を全面的に修正・削除する。
②一部押し戻す:相手方の案で受入れ可能な部分を残し、本社として必要な内容を加筆して中間的な内容の修正を加える。
I
例:Aに関する一切の事項についてる(相手方)の同意を要する。
(修正例1) Aに関する事項のうち下記に定める事項についてこの同意を要する。但し、乙は合理的な理由なく同意を拒否しない。
(修正例2)Aに関する○○と●●について、この同意を要する。
のある条項の維持を条件に別の条項を受け入れる(バッケージで交渉する)。

契約書交渉の過程においては、相手方と交渉が必要であると認識した内容については、当初段階から相手方にその旨を伝えることが大事です。他の条項次第で受入れ可否が変わりうる条項については、留保付である旨を相手方に示す必要があります。(後から蒸し返すことは望ましくありません)

(2)交渉・妥結が難しいと思われる場合は、全面的な契約書案の修正や取引の中止の検討も含めた相手方との交渉が必要になることがあります。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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