遺言、相続に強くなる!

ケース4 介護などを託す子ども1人に全部相続させるのは リスクが高い


●遺言書がないと、母親が住む場所を失うおそれがある
このケースでは、父親が常々長男に対して「将来、親の面倒はおまえがみるんだぞ」と口にし、母親も、「長男夫婦が世話をしてくれる」と期待しています。2人は長女と話し合い、将来父親の財産はすべて長男に
相続させるつもりでいます。

このように、特定の子どもが親の面倒を見ることを前提に、遺産を集中して相続することは珍しくありませんが、これはかなりリスクが高いといえます。もし長男が途中で母親の面倒を見なくなっても、母親は自分の財産がないために我慢するか、他の子どもに頼るしかないからです。すでに現在、長男の妻と母親の関係がよくない場合は、さらにその可能性が高まります。

●遺言書で負担付きの遺贈は可能だが、あてにできない。
父親が自分の死後、どうしても長男に母親の面倒を見てほしいと望む場合は、それを条件(負担)として、長男に財産を相続させるという遺言をすることは可能です。これを「負担付き遺贈」といいます。

しかし、この遺言は必ずしもあてになりません。もし、長男が財産だけもらって母親の面倒を見なかった場合は、相続人が裁判所に遺言書の取り消しを求めることが可能とはいえ、実際のところ、家族がそのようなことをするのは心情的に難しいのではないでしょうか。

●配偶者自身に相続させるほうが安心
本来、配偶者の生活が心配なら、長男ではなく配偶者自身に財産を相続させるよう遺言をするべきです。最低限、住むところは残してあげましょう。
そうすれば、将来、妻が同居する長男と折り合いが悪くなった場合でも、追い出される心配がありません。場合によっては、長男に自宅を買い取ってもらい、そのお金でひとり暮らしをしたり、長女の家で暮らすことも考えられます。自分名義の財産があることで、安心して生活できるようになるのです。

●「自宅に住む権利」だけを遺贈できる
あまり遺産が多くない場合、配偶者が自宅を相続すると、それだけで法定相続分に達してしまい、預貯金など他の財産を相続できない場合があります。また、自宅以外の財産がない場合に配偶者が自宅を相続してしまうと、子どもから遺留分を請求される可能性もあります。このようなおそれがある場合は、自宅の所有権よりも評価額の低い「居住権」のみを承継させることを検討するといいでしょう。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

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