遺言、相続に強くなる!

⑤配偶者が重度の認知症


●認知症がひどいと遺産分割協議に参加できない
このケースで将来、父親が亡くなると、相続人である母親と長男が半分ずつ遺産を相続することになりますが、母親は重度の認知症であり、正常な判断ができないため、遺産分割協議に参加できません。

この場合は、長男が家庭裁判所で母親に成年後見人を選任する手続きをする必要がありますが、これには準備期間も含めて数か月かかります。

将来、長男にそのような手間をかけさせず、スムーズに遺産相続できるようにするには、父親があらかじめ遺言書を作成し、母親に法定相続分程度(最低でも遺留分以上)の預貯金を相続させ、残りを長男に相続させるなどの対策を取る必要があります。

●元気なうちに子どもと任意後見契約を結んでおく
もうひとつ考えておきたいのは、万一、父親も認知症になった場合の財産管理です。認知症の母親が父親の財産管理をするわけにいかないので、そのときは長男が代わりに管理できるよう、父親が長男と任意後見契約を結んでおくと安心です。この契約は公正証書で行う必要があるので、公正証書遺言と同時に作成するといいでしょう。

また、認知症だけではなく、父親が寝たきりなど身体不自由になった場合にも対応できるよう、財産管理契約と任意後見契約がセットになった「移行型の任意後見契約」がおすすめです。

もし、長男と任意後見契約を結ばないまま将来、父親が重度の認知症になってしまうと、弁護士などの第三者が法定後見人に選任されて財産を管理することになり、亡くなるまで月額数万円の報酬を支払い続けることになりかねません。家族に後見人になってほしい場合は、元気なうちに任意後見契約を結ぶべきでしょう。

[文例]
遺言者は、遺言者の有する以下の預貯金を、遺言者の妻鈴木花子(略) に相続させる。
(財産の記載は省略)
⇒認知症の妻には法定相続分以上の預貯金を相続させ、長男には不動産やその他の財産を相続させるとよい

●弁護士に依頼すれば、遺言書の文案だけでなく財産管理契約や任意後見契約の文案も作成してくれます。公証人との打ち合わせや、公正証書遺言作成時の証人、母親の後見人を選任するための家裁の申立手続きも依頼できます。


森井 啓之

代表 行政書士

森井 啓之

東京大学法学部を卒業後、大手金融機関に入社。法務部で、民法改正への対応、リーマン・ブラザーズの破産管財人との英語での激しい交渉を経て莫大な債権回収(詳細は守秘義務)に成功。また、個人融資における遺言・相続業務など幅広い経験を積んで参りました。皆様に、迅速かつ丁寧で最高の法務サービスをご提供させて頂ければ幸いです。

 お問い合わせ
contents
↓応援ポチ感謝です↓
にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
様々な法律知識